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2021年中国産業用自動化製品に於ける統合プロバイダーの発展分析

MIR DATABANKのデータによると、2021年の中国自動化制御製品の市場規模は800億元を超え、前年比成長率は過去最高の23.1%に達した。




自動化市場全体に於いて、産業用自動化制御製品はソフトウェアプログラミング及び統合サービスを提供する必要があり、自動化業界の技術レベルが比較的高い製品であり、中国ハイエンド設備の競争力を高める重要な手段である。MIR DATABANKのデータによると、2021年の中国自動化制御製品の市場規模は800億元を超え、前年比成長率は過去最高の23.1%に達した。

*自動化制御製品には、インバーター、汎用サーボ、PLCHMIが含まれる

 

長い間、外資ブランドは中国の自動化制御分野で主導的地位を占めており、Siemens、ABB、Schneider、Yaskawa、Mitsubishi等のメーカーは中国国内に於ける大部分のインバーター、汎用サーボ、PLC製品の市場シェアを獲得している。外資メーカーは中国市場を理解しやすくし、中国のユーザーにタイムリーで効果的なサービスを提供する為に、大部分の製品は代理店販売のモデルを採用している。現在、中国自動化制御分野では約七割の製品が代理店販売を通じて販売されており産業用自動化製品の総合プロバイダーは既に中国自動化制御市場の重要な構成要素となっている。今後中国の自動化制御市場の競争は、既に製品の競争だけでなく、更に代理店販売チャンネルの競争である。

*以下の産業用自動化製品の総合プロバイダーはチャネル業者と略称される

 

本文は2021年の中国自動化制御分野に於ける代理店販売チャネル全体の市場発展、地区分布状况、製品セグメントの発展、チャネル業者のランキング、発展傾向と問題点について分析を行ったので、ご覧下さい。

 


2021年、中国の自動化制御製品チャネル市場は前年比23.1%成長した

 


MIR DATABANKのデータによると、2021年の中国自動化制御製品市場の約73%はチャネル業者を通じて販売され、市場規模は前年比23.1%増の589億元に達した。

*この市場規模の統計出所は、中国自動化制御製品メーカーに於ける代理店販売の売上高である。

 

2021年の世界経済は徐々に回復し、中国は強大な製造業、ハイテク産業及び強固な経済基盤に依存し、GDPは8.1%の高度成長を実現し、米国のGDP成長率は5.6%で、日本の成長率は1.6%である。同時に、中国自動化制御製品市場の前年比成長率は過去最高水準に達した。

 

l  2021年上半期の市場は昨年の第4四半期の回復を続け、海外の新型コロナは深刻で、産業受注は中国に移った。また、内資メーカーは在庫が十分で原料不足から受けた影響が少なく、成長率は過去最高に達した。

 

l  2021年下半期、市場はチップ不足、原材料の値上がり、電力制限、生産制限等の不利な要素に影響された為、成長はやや鈍化したが、全体は依然として成長傾向を示した。


2022年、中国自動化制御製品市場の成長は鈍化する傾向が現れると予想される。主な原因は海外の新型コロナの不確定性で、中国の輸出市場は萎縮するかもしれない。「チップ不足」が続く可能性がある。

 

2017-2022年中国自動化制御製品に於ける代理店販売の売上高状況及び予測

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(データ出所:MIR DATABANK、自動化制御製品にはインバーター、汎用サーボ、PLCHMIが含まれる)

 


東部地区は39%のシェアで第1位となる


 

チャネル業者の集中度は地区によって異なり、大規模なチャネル業者は経済的に発達した東部と南部地区に集中している。北部地区は北京や天津を中心に、大規模なチャネル業者が比較的集中している地区でもある。

 

2021年中国自動化制御製品に於ける代理店販売の売上高ー各地区・市場シェア別

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(データ出所:MIR DATABANK

地区分布を見ると、2021年に東部地区は39%のシェアで第一位となり、最大の自動化制御製品に於ける代理店販売市場となった。東部地区は経済が比較的発達し、産業配置が比較的合理的で、全体の自動化レベルが比較的高く、自動化制御製品市場の主要地区である。

中南地区には華中と華南の2つの地区が含まれ、2021年に中南地区は23%を占め、市場シェアは全国第2位となった。華中地区は明らかな産業特性がなく、全体のシェアは比較的小さかった。 華南地区はリチウム電池、太陽光発電、電子等の業界が比較的集中しており、業界の発展が比較的速く、市場の需要は引き続き旺盛である。

北部地区は北京、天津を主としており、2021年の市場シェアは16%で第3位となった。東北地区は中国の古い重工業の基地であり、自動化市場の需要は安定しており、2021年の市場シェアは12%で第4位となった。西南地区と西北地区は経済発展が相対的立ち遅れており、自動化制御製品の集中したアプリケーション地区ではない為、市場シェアは依然として低かった。


 

2021中国自動化制御製品市場はいずれも高度成長を実現


 

2021年の自動化制御製品はチップ不足、原材料不足を背景に、依然として高度成長を実現した。現在、中国国内のインバーター、汎用サーボ、PLC、HMIの主流販売モデルはいずれもチャンネル業者の代理店販売モデルである。

 

2021年中国自動化制御製品の代理店販売シェア

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(データ出所:MIR DATABANK

 

インバーター:

 

インバーター製品のチャンネル業者に対する要求:低圧インバーターの場合、その顧客の約70%がOEMユーザーである為、チャンネル業者には、地域の顧客カバー能力、技術サポート能力、及び強力な在庫能力が要求される。一方、中・高圧インバーターの場合、その主要分野はエンジニアリングプロジェクトの分野である為、チャネル業者には良好な顧客関係維持能力と強い資金実力が要求される(エンジニアリング実施のサイクルは一般的に長いため)。

 

2021年の低圧インバーター市場に於ける代理店販売の売上高は前年比17%増の200億元を超えた。

 

市場需要の増大と原材料の値上がりを背景に、低圧インバーター市場は需要量と価格が共に上昇する局面になった。2021年の輸出受注の急増は、紡績機械、包装機械、プラスチック機械等の低圧インバーター川下産業に於ける需要の急速な増加をもたらし、同時に工作機械、電子及び半導体、物流自動化等の業界の急速な発展も製品の需要をもたらした。

 

2021年の中・高圧インバーター市場に於ける代理店販売の売上高は前年比17.1%増の35億元を超えた。

 

l  2020年の一部のプロジェクトは、新型コロナの原因で2021年まで延期して着工された為、2021年上半期に高圧インバーターが出荷された;

l  冶金業界は2021年に急速に発展し、河北省等に於ける鉄鋼企業は集中的に生産能力過剰を解消して移転し、グリーン・低炭素のモデルチェンジを行い、高圧インバーターに対する需要を大きく牽引した;

l  石油精製基地の建設も高圧インバーターの需要増加を促進し、2021年には山東省、福建省、広東省、広西省等で大型精製プロジェクトの入札建設が行われ、高圧インバーターの発展をもたらした;

l  2020年の低い基数も2021年の高い成長率に影響を与える原因の一つである。

 

汎用サーボ:

 

汎用サーボ製品のチャンネル業者に対する要求:サーボ製品はチャネル業者が販売されたサーボ製品に対して比較的良い認識を持っていることを要求し、顧客がプリセールスとアフターセールスの技術サポートを行うのを助けることができ、同時にチャネル業者が比較的強い業界のアプリケーション背景を持っていることを要求する。

 

2021年の汎用サーボ市場に於ける代理店販売の売上高は前年比35%増の150億元を超えた。

 

l  マクロ政策の推進により、汎用サーボ川下の需要は安定して上昇した。2021年は「第14次5カ年計画」の最初の年となり、各業界の政策の実施は業界の発展を加速させ、大量の汎用サーボ製品の需要を生み出した。

l  旺盛な市場需要とチップ不足による欠品は市場需要が供給を上回らせ、一部の国産メーカーに業界のチャンスをもたらし、一部の外資ブランドは「供給が需要に追いつかない」情况の下で積極的に発展し、高いコストパフォーマンス、高いサービス応答速度、短い納期等の優位性を持ってサーボ製品を提供し、更に一部の日韓、欧米メーカーの市場シェアを獲得した。

l  2021年の成長状況が比較的良好な川下産業は主に産業用ロボット、リチウム電池、電子及び半導体等である。一部の従来型業界、例えば紡績、プラスチック、ゴム等の業界で成長率は比較的安定した。

 

PLC

 

PLC製品のチャネル業者に対する要求:中大型PLCの場合、そのチャネル業者は比較的良いプロジェクト追跡能力、エンジニアリング実施能力及び一定の資金実力を持つことが要求される。小型PLCの場合、小型PLCの顧客の90%以上はOEM顧客である為、チャネル業者は比較的良いOEM顧客開発能力、技術サポート能力及び比較的強力な在庫能力を持つことが要求される。PLC製品は一般的にHMI製品と一緒に販売される為、PLC製品のチャネル業者にはHMIのチャンネル業者が含まれる。

 

2021年、中国PLC市場に於ける代理店販売の売上高は前年比21%増の100億元を超えた。

 

l  2021年上半期、中国経済の回復は比較的速く、同時に海外で新型コロナ状況が深刻で、紡績、包装等の業界の受注が中国に移った為、川下需要は大幅に増加した。2021年下半期、PLCの成長率は予想を上回った。2021年第3四半期に懸念されていたエネルギー問題(電力制限及び生産制限)が急速に解決され、自動化市場全体に与えた影響は大きくなかった。

l  2021年、PLC市場は主に半導体、紡績、包装、電池等の業界に牽引されて急速な成長を遂げ、中大型PLCは冶金業界の成長に牽引された。

 

市場集中度が高くなく、衆業達、海得控制、高威科は上位3社である

 


2021年のチップ不足は、自動化制御製品の価格と納期に影響を与えた。売価の持続した上昇は主にユーザー側の圧力によるものであるが、川下市場の需要が旺盛である為、納期の延期はチャネル業者に於ける売上高の成長をある程度抑制しており、2022年にはチャネル業者は依然としてこのような圧力に直面すると予想される。

 

中国自動化制御製品のチャネル市場の集中度が高くなく、チャネル業者に於ける自動化制御製品の売上高の規模によって以下の3種類に分けられる:

 

第一類:自動化制御製品の売上高が10億元以上のチャンネル業者には衆業達、海得控制、高威科が含まれ、これらのチャンネル業界はいずれも業界に於けるいくつかの主流ブランド製品の販売を手に入れている。

 

2:自動化制御製品の売上高は10億元以下で、1億元以上のチャネル業者には南京朗馳、上海会通、華章電気、上海慧橋、上海北科良辰、北京進歩時代、福大自動化等が含まれる。この規模階層の企業数は比較的多く、各企業は常にある主流ブランドを代表とし、異なるブランド分野の「リーディングカンパニー」になった。例えば、福大自動化はSchneider製品の販売を主とし、上海北科良辰の売上高の90%程度は全てYaskawaによるもの。

 

第三類:自動化制御製品の売上高が数千万元以上のチャンネル業者は数量は最も多く、大恒電気、深圳諾達等が含まれ、彼らは特定のブランドのみを取り扱い、規模が小さく、特定の省・市の市場にのみ注目する。

2021年中国自動化制御製品に於けるチャンネル業者の上位10社

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(データ出所:MIR DATABANK、このランキングは、各チャネル業者に於ける2021年自動化制御製品の売上高に基づいて推定される)

*備考1:上場会社が2021年の決算報告書データを発表した後、上記のデータ情報は調整されるかもしれない。備考2:MIR 睿工業が提供するデータ情報の内容は、客観的かつ公正であるよう努めているが、いずれの場合も、データ情報または表明された意見は、明示または黙示を問わず、誰に対しても投資アドバイスを構成するものではなく、道徳的、責任的、法的根拠または証拠として使用することはできない。

 


発展傾向と問題点


 

1.チャネル業者の能力が事業展開に追いつかない

 

事業競争が益々激しくなるにつれて、より多くの自動化制御製品のサプライヤーは、顧客により良いサービスを提供し、より大きな市場を獲得する為に、チャネル業者により高い技術力とより専門的な販売能力を要求する。一部のチャネル業者は能力不足で淘汰された。

顧客の生産プロセスを掌握して統合能力を持ち、顧客に総合的なソリューションのサービス能力を提供し、市場に認められ、傾向は明らかである。

 

2.中小規模の単一ブランドの自動化制御製品に於けるチャネル業者は変革に直面している

 

自動化制御製品の価格と納期が安定してない期間で、顧客により多くの代替製品ソリューションを急速に提供することができるチャネル業者の発展に有利であり、これは中小規模の単一ブランドの自動化制御製品に於けるチャネル業者をマルチブランドの自動化制御製品に於けるチャネル業者へと発展させ、製品が豊富であればあるほど、代替余地が大きくなるからである。

 

3. チャネル業者の内部競争

 

サプライヤーは、毎年の販売指標の圧力をチャネル業者に移す。特に年末の時、多くのサプライヤーは販売指標を達成する為にチャネル業者に在庫を滞らせる。チャネル業者は、より多い販売数量のタスクを達成する為に、在庫を急速に消化する。市場価格よりも低い価格で販売される為少しの利益を犠牲にする一方、あらゆる方法を考えて顧客を開拓し、他のチャネル業者の顧客を奪い合うこともある。

 

自動化制御製品が産業分野で一般的に使用されるようになるにつれて、チャネル業者の内部競争問題は現在、各自動化制御製品のメーカーが直面している一般的な問題である。

 

4. チャネル業者の資金

 

自動化制御製品の売上高が益々高くなるにつれて、顧客の納期を満たす為に、チャネル業者は一般的に大量の在庫を準備する必要がある。一方、チャネル業者は受注時にメーカーとより良い価格を得る為に、できるだけ資金を準備して規模の大きい受注を行う為、大規模なチャネル業者は資金が逼迫し、小規模なチャネル業者は資金不足の為に市場から退場する。