業界観測

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深紫外線殺菌設備が投資のホットスポットとなった

2020年初頭の疫病発生以来、中国ではコールドチェーン関連の感染が7件発生しており、大連では3件とも輸入コールドチェーン食品が発生源となっており、輸入コールドチェーン食品の殺菌・消毒問題の解決が非常に急務となっている。


 

2020年初頭の疫病発生以来、中国ではコールドチェーン関連の感染が7件発生しており、大連では3件とも輸入コールドチェーン食品が発生源となっており、輸入コールドチェーン食品の殺菌・消毒問題の解決が非常に急務となっている。

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(情報ソース:MIR DATABANK

 

輸入コールドチェーンが疫病発生の源となり、政策が監督管理倉庫の整備を推進

コールドチェーン食品の輸入は伝染病の予防・コントロールに於いて非常に必要な一環となり、その監督管理も非常に重要となっている。国家はこれを極めて重視し、関連政策もますます完備してきた。

2020121日に全国輸入コールドチェーン食品トレーサビリティ管理プラットフォームが正式に運用を開始し、2021113日に32の省級プラットフォームとのドッキングを実現し、国家級プラットフォーム、省級プラットフォーム、企業級プラットフォームからなる3段階構造を構築し、畜産物、水産物などの重点輸入コールドチェーン食品の全チェーン情報トレーサビリティを形成した。

輸入コールドチェーン食品の監督管理に関する政策

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(情報ソース:MIRが公開資料に基づいて整理)

また各地の集中監督倉庫の建設、運営、情報化作業を規範化する為、市場監督管理総局は輸入コールドチェーン食品集中監督倉庫の設立と運営技術指南などの文書を発行し、各地の市場監督管理部門に集中監督倉庫に頼って、閉ループ管理を強化するよう指導した。2022214日までに、全国各省は849カ所のコールドチェーン食品の輸入集中管理倉庫を建設した。

倉庫が税関の通関に許可した輸入コールドチェーン食品の入庫を集中的に監督し、一括殺処分、一括検査を行い、出荷証明を取得した後、ようやく市場に入って販売できる。

輸入コールドチェーン食品集中監督管理倉庫の作業フロー図

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(情報ソース:MIR DATABANK

 

消殺技術によって性能はそれぞれ異なり、低温消毒が技術の難関攻略の方向となる

消殺技術では、大多数のコールドチェーン消毒に採用したのは化学消毒剤消毒であるが、各種の化学消毒剤の特徴と効用は少し違いがあり、しかも低温環境は消毒の効果に対する影響が大きく、また残留汚染食品があるかもしれない。また過酸化水素ガス、プラズマ、紫外線などの方式があるが、多かれ少なかれコールドチェーンの消毒に合わない痛みがある為、監督管理倉庫の消殺技術はまだ検討しなければならない。

異なる消毒方式の長所と短所

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(情報ソース:MIR DATABANK)

各種消毒技術を総合的に比較すると、化学消毒剤、オゾンガス、プラズマはいずれもコールドチェーンの殺菌消毒に応用できるが、低温環境下では消毒効果が低下することが多い。化学消毒剤は凍結問題を解决する必要があり、常温消毒技術をコールドチェーンに直接適用できず、低温試験に合格する必要がある。過酸化水素は深層食品の外包装消毒接触面の不完全さを解決する必要があり、プラズマ消毒は価格問題を解決しなければならない。また、自動化装置との統合が必要であり、人工操作に時間がかかるという問題を節約し、効率的な殺傷を可能にする。

ほとんどの消殺方式は低温環境で使用できず、低温による消毒効果が大きく低下し、甚だしきに至っては完全に失効する問題に直面していることが分かる。従来の消毒剤と消毒技術は、いずれも常温あるいは高温条件下で消毒処理を行っていたが、低温消毒技術は、疫病発生前に世界レベルで全く新しい問題であったが、コールドチェーン食品の疫病に対処する為に、低温消毒設備が登場した。

20212月、大連のある企業は、中国初の低温コールドチェーン新しいコロナウイルス消殺検査技術および装置を導入し、全自動通路式低温消毒機は、広州市で輸入された冷凍食品集中監督倉庫で使われており、疫病予防制御自動化設備の技術に於ける大きなブレークスルーであるが、現在市場ではこの設備はほとんど姿を消した状態にあり、大量生産を継続しているかどうかについては疑問があり、しかも市場でのアプリケーションの量が少ない為、ここではあまり言及しない。

高効率で環境に優しい深紫外LEDは広く使われる

これに対し、紫外線殺菌は百年余りの歴史を持っており、従来の消殺方式に比べ、UV消滅は効率が高く、効果がよく、環境保護などの利点を有し、広く使われる。新型コロナが勃発して以来、深紫外LEDは更に急速に大衆の視野に入り、最も人気のある殺菌技術となり、輸入コールドチェーン食品は、深紫外LEDを装備した倉庫の消殺装置を集中的に監督している。 

深紫外LEDは、LED半導体発光素子によりUVC帯紫外線(典型的な波長260280nm)を発光させ、UVC LEDを用いて細菌やウイルスの遺伝物質であるDNARNAを破壊し、新冠ウイルスを死滅させる。

一方、深紫外LEDの普及は大勢の赴くところであり、現在、政策、産業、技術及び市場は徐々に力を合わせ、黄金発展期に入っている。

Ÿ   「水銀に関する水俣条約」は、水銀添加製品の生産と輸出入の淘汰を2020年までに完了することを明確にしており、同条約の発効により、従来の紫外水銀灯の生産と使用が禁止され、深紫外LEDは環境保護などの利点により、従来の紫外水銀灯の代替品となった;

Ÿ   国内外の川上チップメーカーはUVC LEDチップの生産拡大を積極的に推進し、コストの着実な低下を牽引している;

Ÿ   深紫外LEDの発光波長が徐々に短くなり、チップ内の量子効率が向上し、出力光パワーが40mWを超え、殺菌消毒効果がさらに向上した;

Ÿ   工業硬化、工業光触媒、医療機器、スマート消毒ロボットなどの分野から家電、家庭消毒、殺菌、浄化大容量などに広がっている。

 

深紫外LED企業が次々と参入、新旧のプレイヤーが同じ舞台で競い合う

深紫外LED産業は発酵しており、市場需要は急増している。ポスト疫病時代のベストセラーになった、疫病の常態化の発展は更に深紫外LED産業チェーンの完成を加速させ、多くのメーカーが市場シェアを先取りし始め、この分野向け事業を拡大しており、輸入コールドチェーン食品集中監督管理倉庫が全国各省で建設・施行されるのに伴い、深紫外LEDの用途が更に拡大、2022年にはより多くのプレイヤーが登場する見込み。

1.市場のベテランプレイヤーが深紫外LED分野を深耕し続けている

Ÿ   202111月、武漢優煒芯科技有限公司は億元近くのBラウンド資金調達を完成し、資金は主にLEDチップと製品の研究開発投入を増やす為に使われた。その持株の子会社である湖北優煒芯は深紫外LEDチップと産業の方向を狙い、2022115日、会社の紫外LED産業基地プロジェクトが生産を開始し、総投資額は10億元、そのうち一期建設用地は50ムーで、5億元を投資する計画で、主に紫外LED産業チップ、紫外LEDデバイスパッケージと紫外LEDモジュールの建設を行う。稼働後、チップラインの年産能力は10万枚、デバイスパッケージの年産能力は225KK、モデルの年産能力は60KKに達する。

Ÿ   20211117日、中科潞安が担当した山西省の重大特別プロジェクト「窒化ガリウム系高効率深紫外LEDチップ技術」プロジェクトは段階的な進展と肝心な技術突破を遂げた。プロジェクトチームは窒化アルミニウムテンプレート材料の製造プロセスを系統的に研究し、高効率P型ドーピングの新しい方法を提案し、分極誘導ドーピング、窒化アルミニウムテンプレートのスパッタリングアニール、チップのマイクロナノ構造に基づく高効率光抽出などの基幹技術を突破し、深紫外LEDチップの発光効率を大幅に向上させた。

2. LED照明、パッケージ大手の木林森が深紫外殺菌市場を先取り

木林森は照明製造の全産業チェーンの展開に力を入れており、LEDチップ、LEDパッケージ、LED照明の分野で強力な競争優位性を持っている。2020年初頭の疫病発生初期、木林森は新たな戦略サーキットを開設し、UVC深紫外線産業に力を入れた:

Ÿ   至善半導体中国有限公司及び至善半導体科技(深セン)有限公司と「深紫外半導体スマート化殺菌事業提携協定」を締結し、深紫外スマート殺菌消毒製品の生産と普及に協力する;

Ÿ   至芯半導体(杭州)有限公司に出資し、UVC深紫外チップに力を入れる。

UCV深紫外線事業は発展の余地を広げ、同社の業績成長の新しい原動力となった。2022117日に発表された業績予告によると、20211-12月に上場企業の株主に帰属する純利益は11億元から12億元で、前年同期比264.55%から297.7%増加する見通しだ。業績の変動が大きいのは、LED業界の景気が回復し、川下の需要が好調になり、同社が市場のチャンスをつかんだ為だ。

このほか、瑞豊光電、光莆股份、鴻利智匯、雪レット、慧億科技などの国産メーカーも深紫外LED市場で活躍している。長期的に見れば、各大手メーカーの持続的な発展の下で、深紫外LED関連のチップ、デバイス、モジュール製品の技術はより成熟し、製品も更に多元化の方向に発展し、将来的に市場規模は持続的に拡大していく。