業界観測

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中国産業用ロボット2021年出荷25万台を突破し

MIRは長期にわたり中国の産業用ロボット市場に注目し、豊富な調査経験に基づいて、2021年の十大ニュースを選び、中国産業用ロボット市場を振り返る。

2021年、中国のスマート製造のモデルチェンジとグレードアップを背景に、中国の産業用ロボットの出荷台数は25万台を突破し、市場規模は過去最高に達し、産業用ロボットメーカーの成長の勢いは力強い。MIRは長期にわたり中国の産業用ロボット市場に注目し、豊富な調査経験に基づいて、2021年の十大ニュースを選び、中国産業用ロボット市場を振り返る。

(以下のニュースは重要度に基づいてランキングを作成)

 

10、カイエルダーロボットが発売、中国本土のアーク溶接ロボットメーカーが民生用工業で力を入れている

MIR DATABANKによると、2021年の中国アーク溶接ロボット市場全体の販売台数は4万台以上で、国産化率は40%未満、外資が依然として高いシェアを占めていた。自動車業界で主導的地位を占めているほか、建設機械、鉱山機械などの外資系メーカーも市場の主な構成要素であり、内資系メーカーは主にフィットネス器材、二三輪車、金物家具などの民生用工業業界から力を入れており、ここ2年で市場シェアが著しく向上し、資本市場の注目を集めている。

20211025日、尔达机器人科技股份有限公司(以下、カイエルダーロボット社)は科創板に上場した。カイエルダーロボット社は産業用ロボット技術と産業用溶接技術をサポートとし、顧客に溶接ロボットと産業用溶接設備を提供する企業である。中国国内でロボット溶接装置、ロボットアーム、コントローラーのコア技術を同時に習得している数少ない国内メーカーの1つとして、市場競争で際立って優位になる。

20172022年の中国アーク溶接ロボット市場規模と予測

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(データソース:MIR DATABANK

 

9、産業用ロボット分野の資金調達額が過去最高に達し、協働ロボットとマシンビジョンの人気が高まっている

2021年、中国の産業用ロボット分野では投資融資事件が多く発生し、融資総額は過去最高を記録したが、融資件数は数年前に比べて減少し、1件の融資額は急速に増加しており、市場で優位な地位を占めるメーカーが徐々に目立つようになっている。主要な大口融資メーカーの融資ラウンドが上場前の終わりに入ったことを反映しており、各細分分野の上位メーカーも徐々に目立つようになる。

Ÿ   従来の産業用ロボットに比べ、協働ロボットの技術的障壁はより低く、柔軟化されたスマート化の特徴は市場のニーズにより適応できる為、国産ロボットにとって飛躍の好機と考えられており、資本市場は活発である。2021年に、JAKAロボットはCラウンド、C+ラウンドの資金調達を完成し、総金額は4億を超えた; 艾利特ロボットはB1B2ラウンドの資金調達を完成し、総金額は3億に達した; DOBOTロボットは3.2億元の戦略融資を完成した; 珞石ロボットは2億元のC+ラウンドの資金調達を完了した; 大族ロボットB 1ラウンドの資金調達総額は3.95億元で、協働ロボット分野で単一ラウンド融資金額が最も多い企業となっている。

Ÿ   協働ロボット+移動ロボットの融合は近年、企業の注目を集めている。多くの企業が複合ロボット事業に関わっている。例えば、優艾智和、藍芯科技、迦智科技、墨影科技など。優艾智合は1年間に複数回の資金調達を受け、急速に発展してきた。

Ÿ   3Dビジョンとロボットの組み合わせ作業の使用シーンは豊富になり、資本の注目を集めており、2021年に産業用ロボットの分野で最高の資金調達を完了した。梅卡曼德ロボット(Mech-Mind Robotics)が9月に発表したCラウンドの融資額は10億元近くで、世界のAI+工業ロボット分野の融資金額が最も高い会社の一つとなっている。また易思惟、視比特もそれぞれ1億元以上の資金調達のBラウンドとA+ラウンドを完成した。

20162021年の中国産業用ロボット分野の投融資事件と金額

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(データソース:MIRが公開資料に基づいて整理)

 

8ABB Robotics Chinaの前社長である李剛氏がAUBO Roboticsに入社、中国産業用ロボット分野の人材が次々と職場に復帰

20213月末、ABB Robotics Chinaの前社長である李剛氏がAUBOに入任し、2021512日、AUBO共同創業者として初めて紹介された。これに先立ち、元URロボット(中国)のコアチームメンバーの呉非氏、任怡氏、蔡嵩林氏らが艾利特ロボットに加入し、元KUKAロボット(中国)CEOの王江兵氏が銭江ロボットに加入した。

ますます多くの外資系企業に就職した中国人従業員が内資系企業に転職し、その蓄積した仕事経験を用いて、外資企業の長所と中国本土の優位性を結びつけ、内資系企業の成長に利益をもたらし、このままでは国産製品が輸入製品に取って代わることは不可逆的な流れとなってきた。

 

7.内資系システムインテグレータがミッドレンジ・ハイエンド・アプリケーション統合への浸透を加速

2021年、中国産業用ロボットの産業チェーン川下業界のシステムインテグレーション市場は成長傾向にあり、異なる細分化された分野の市場需要は持続的に上昇しており、外資系インテグレーターは主に自動車、宇宙航空などの付加価値の比較的高い細分化業界を占めていた。電子業界や金属加工などの細分化された業界のエンドユーザーはコスト管理に対する要求が厳しく、またこれらの分野の個々のプロジェクトの価値量は自動車より低く、外資系ブランドがそれらを十分に検討することは困難である為、すでに内資系インテグレータが主導的な地位を占めている。

プロセス構造から見れば、中国本土のインテグレータはすでに比較的簡単なプロセスセグメント、例えば運搬/パレタイズなどのシステムインテグレータ分野をカバーしている。ミッドレンジのプロセスセグメントでは、国内のインテグレータは価格とサービスの優位性を持っており、すでに主導的な地位を占めている。しかし、研磨、塗装等のハイエンドプロセス分野では、外資系インテグレータが依然として主役である。

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(データソース:MIR DATABANK

 

6産業用ロボットの年間30種類余りの新製品は大負荷、高速、複合化の傾向がある

中国のスマート製造のモデルチェンジとグレードアップ及びますます多くの使用シーンのカバーに伴い、 産業用ロボット市場の需要は絶えず増加しており、2021年には各産業用ロボットメーカーが積極的新製品の発表に力を入れていた。不完全な統計によると、各メーカーはScaraDelta、多関節ロボット、協働ロボットを含む計30種類以上の新製品を発表した。まとめて見れば、産業用ロボット製品の発展傾向は以下の通り:

Ÿ   操作方法の簡易化;

Ÿ   負荷、精度、作業速度の向上;

Ÿ   自動障害物回避、衝突防止、安全性強化;

Ÿ   より多くの業界の様々の用途に対応し、カスタマイズされたニーズに合わせて製品の特性を柔軟に調整し、生産をカスタマイズ;

Ÿ   複合型ロボットはますます多くなり、産業用ロボットは3Dビジョンシステム、柔軟なエンドエフェクタ、移動ロボットと組み合わせて、「目」、「手」、「足」の機能を与えている。

2021年中国産業用ロボット市場で新製品の発表-一部

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(情報ソース:MIR DATABANK

 

5、「第135カ年計画」は無から有へVS「第145カ年計画」は有から精へ

202112月に工業・情報化省は『「第145カ年計画」ロボット産業発展』を発表し、主要部品の「技術封鎖」の問題の解決とハイエンド供給能力の継続的な改善に焦点を当てることを提案した。「第135カ年計画」期間の全体的な発展目標は比較的完全なロボット産業体系を形成することであり、発展は速まっている。

l  同計画では、産学研共同の難関攻略に取り組んでおり、ロボットの基幹部品の機能、性能、信頼性を向上させることを打ち出しており、これは引き続き中国産業用ロボット分野の基幹部品「技術封鎖」技術の研究開発を支え、ハイエンド供給能力を向上させる。

l  同計画では、2025年までにロボット産業の営業収入の年平均成長率を20%以上とし、製造業のロボット密度が2倍になり、産業用ロボットにより広い市場空間をもたらすことを打ち出した。

「第135ヵ年計画」と「第145ヵ年計画」ロボット産業発展の比較

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(情報ソース:MIR DATABANK

 

4、産業用ロボット市場で協働ロボットの成長率がトップ

MIR DATABANKによると、2021年の協働ロボットの出荷台数は前年同期比108.5%増の15663台と倍増した。

l  2021年には3C、自動車電子などの工業市場の需要が増加すると同時に、協働ロボットの新小売、理学療法などの非工業応用分野への開拓を加速し、大量に販売する。

l  協働ロボット価格の下落が加速し、ユーザー導入のハードルがさらに下がり、多くの企業が廉価版コラボレーション製品を発売して市場を先取りし、資本が協働ロボット市場を支援し、市場の発展を牽引している。

2022年には顧客の協働ロボットに対する認知度と認可度の更なる向上、及び企業のスマート製造、ヒューマンマシン協同、フレキシブル化製造に対するモデルチェンジニーズの共同推進に伴い、協働ロボット市場は依然として成長を維持するが、2021年の基数が大きすぎる為、成長率は鈍化傾向にあると見込み。

20172022年の中国協働ロボット市場規模

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(データソース:MIR DATABANK

 

3、産業用ロボットの川下業界は全面的なプラス成長を実現し、リチウム電池、倉庫物流は倍増した

MIR DATABANKによると、2021年産業用ロボットの川下業界では新エネルギー関連業界が活発に発展し、リチウム電池業界の成長率は前年同期比131%増、太陽光発電業界は前年同期比51%増加した。新興工業市場の需要は大幅に増加し、倉庫物流、医療用品、半導体業界の成長率はそれぞれ103%74%70%に達した。

l  「二重炭素政策」は「新エネルギー」に利益をもたらし、エネルギー構造改革は新エネルギー設備の需要を牽引し、2021年に中国の太陽光発電の設備量は3億キロワットを突破した。 新エネルギー自動車の急速な発展とリチウム電池の需要の増加に加え、リチウム電池企業の海外生産能力の投入と充電インフラの整備、コストの低下、安全性の向上など消費者のペインポイントの解決に加え、業界の成長傾向が明確になった。

l  工場の自動化倉庫システム、電子商取引物流などは産業用ロボットの仕分け、運搬、パレタイズに対する需要が大幅に増加した。疫病は医療用品と器械のロボットに対する需要を牽引し、このほか産業用ロボットは薬局の自動化、核酸検査、サンプル分析テスト、マッサージ理学療法、手術補助などの分野で着地を加速させた。

l  2021年には「コア不足」現象が深刻になり、主要チップメーカーの生産能力建設が加速し、産業用ロボットの使用に対する需要が徐々に増加し、産業用ロボットは半導体生産の高速・高精度、高清浄度、低人為妨害の生産需要に合致する。

2022年に新エネルギー業界の傾向がよくなるにつれて、3C、リチウム電池、太陽光発電の需要は依然として高速成長を維持し、一般工業応用分野は絶えず深くなり、非工業分野の用途は拡大し、産業用ロボットの川下業界は持続的に発展すると予想されている。

20202021年の産業用ロボットの業種別出荷台数は前年同期比の増加

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(データソース:MIR DATABANK

 

2、産業用ロボットの内資系メーカーの割合は再び30%を超え、過去最高を更新した

MIR DATABANKによると、2021年に中国の産業用ロボット市場に於ける内資系メーカーのシェアはある程度上昇し、国産化のプロセスは絶えず加速し、その中でEstunInovance2021年に産業用ロボットの出荷量は1万台を突破した。

外資系ロボットメーカーのサプライチェーンが2021年に影響を受けた為、内資系メーカーの国産材への代替のチャンスが生まれた。内資系メーカーも一連のソリューション、差別化製品(例えば業界専用機)、業界応用の深耕と蓄積、柔軟な価格とサービスなどを提供することでチャンスを把握した。更に川下ユーザーのコスト削減の要求及び国産ブランドに対する認知度と受け入れ度の明らかな向上はいずれも国産代替をトレンドにしている。

20172021年の中国産業用ロボット市場シェア

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(データソース:MIR DATABANK

 

12021年、中国の産業用ロボット市場規模が過去最高に達した

2021年には、疫病の再発、世界的な「コア不足」、原材料不足、サプライチェーンの圧力、電力供給の逼迫、輸送価格の上昇など多くの挑戦の下で、中国の産業用ロボット市場は依然として急速に成長している。MIR DATABANKのデータによると、2021年の中国産業用ロボット市場規模は256360台で、前年比49.5%増加した

l  2021年上半期の産業用ロボット市場は20年下半期の市場景気を継続し、工業応用分野の市場需要が続々と解放され、非工業シーンの応用が持続的に拡大されると同時に、海外疫病の不安定さにより、中国は海外製造の受注を継続し、成長率が大幅に増加した。

l  2021年下半期の産業用ロボット市場は原材料価格の上昇、チップ不足、電力制限政策の影響で川上·川下の発展が妨げられ、成長率がやや鈍化したが、通年で見れば市場全体は依然として高い成長傾向を示している。

2022年、中国の産業用ロボット市場は2021年の高いベースで20%以上の成長率を達成すると予想される。主に川下業界の端末に対する需要の確定性が強化された為だ;ロボット全体の価格傾向の下落;新エネルギー関連業界および一般工業の需要景気; 「第145カ年計画」ロボット産業発展計画》』の強力な推進;そして資本の持続的な増加。しかし、2022年には原材料の値上がり、チップや部品の欠品状况が続き、川下業界の生産やロボットの正常な生産と納入が波及すると予想している。また、海外での疫病の安定に伴い、中国の一部の製造業は海外移転のリスクに直面しており、産業用ロボット市場のチャンスと挑戦が共存している。

20172022年の中国産業用ロボット市場規模

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(データソース:MIR DATABANK、出荷台数:6-axis 20kg以下、6-axis 20kg超、SCARA、Collaborative、Delta)