業界観測

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産業用ロボットは食品・飲料業界の新たな原動力

本文では、食品飲料業界に於ける産業用ロボットの全体的な市場状況、川下業界の産業用ロボットの応用状況及び導入した産業用ロボットに対して深く分析する。


製造業のモデルチェンジとグレードアップによる長期的な需要及び川下業界で徐々に拡大している新しいアプリケーションがもたらした大きな成長の恩恵を受けており、産業用ロボットを特徴とするスマート製造の応用範囲は広がりを見せており、従来の産業分野ではロボットが人間の代わりに働く機会も徐々に増えており、あらゆる業界に徐々に浸透しており、食品飲料加工業も恩恵を受けている。


食品・飲料製造業への投資規模が年々増加、産業用ロボットの活用に有利

2017年以降、投資周期性の影響を受けており、中国食品・飲料製造業市場の投資成長率が鈍化した。2020年には疫病により、 不必要な外出が減り、さまざまな世帯の食料備蓄の需要が増加し、食品・飲料市場の川下需要がそれに応じて増加し、同時に疫病発生期間中に工場の「求人難」現象が激増し、市場の需要を満たすために自動生産を実現する必要がある。投資の周期的な回復に伴い、2020年に食品飲料製造業界の固定資産投資規模の伸びは加速した。その後、疫病の緩和や食品に対する消費者の需要の多様化により、食品業界への投資は増加し続けると予想される。

 

20152025年の食品飲料製造業の固定資産投資規模と予測

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 (データソース:中国国家統計局、MIR DATABANK

市場需要の急増により、様々な食品メーカーの取引量が増えている。産業用ロボットを生産ラインの各作業ステーションで使用することは、生産効率を向上させ、同じバッチの製品の一貫性と品質を確保し、人々が危険で過酷な環境にいる必要がないように、人的コストを節約できる。今のところ、食品・飲料加工業界に於ける産業用ロボットは、主に仕分け、箱詰め、パレタイズのワークフローにある。

 

食品飲料業界に於ける産業用ロボットの用途

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食品・飲料業界に使われる産業用ロボットの全体市場規模は年々増加傾向にある

 

MIR DATABANKのデータによると、2020年、中国で食品・飲料業界に使われる産業用ロボットの販売台数は前年比22.9%増加した。食品・飲料業界で産業用ロボットの用途広がりに伴い、2021年通年の販売台数は前年比28%増加する見込みだ。

20192023年に食品・飲料業界に使われる産業用ロボットの市場規模と予測

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(データソース:MIR DATABANK

近年、食品・飲料業界に使われる産業用ロボットの市場規模が拡大している理由は、以下の通り:

l  2020年には新型コロナにより、「採用難」と「求人難」の問題が顕在化し、即席麺、ソーセージ、冷凍食品などの川下需要が増加し、メーカーの自動化に対する需要が大幅に拡大した。

l  産業用ロボットの用途:バックエンドのパレタイズからフロントエンドの仕分けまで。

l  産業用ロボットメーカーの川下受注は増加し続けており、今後、食品・飲料業界の大手メーカーが産業用ロボットを導入するにつれて、産業用ロボット市場は安定した成長傾向を維持する見込み。

 

 

食品・飲料業界に於ける産業用ロボットの活用は主に飲料・スナック食品分野に集中

 

業界定義

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2020年、食品・飲料業界用産業用ロボットの川下業種別市場構造によると、産業用ロボットが最も多く使われているのは飲料とスナック食品で、それぞれ29%21%を占め、次いで乳製品、主食類&生鮮食品などであり、そのうち:

l  スナック食品の分野で産業用ロボットが多く使われているのは、即席麺、菓子、漬け込み類の食品であり、一部のキャンディー、ナッツ、果物類の食品もある。

l  飲料、ビールなどの飲料業界のバックエンドのスタッキング・ワークに産業用ロボットが多く使われている

l  調味料の分野では、産業用ロボットをよく使われるのは鶏エキス、食塩、ソース、鍋の底類である。

l  主食類&生鮮分野では(冷凍ギョーザや生鮮食肉製品など)、フロントエンドロボットの選別要件が高い為、治具などは食品の等級に応じて仕分ける必要がある。

l  伊利、蒙牛を代表とする乳製品、栄養素などは、産業用ロボットに対する需要が安定的に増加しており、関連する作業はバックエンドのパレタイズからフロントエンド仕分けと梱包に徐々に移行している。

2020年食品飲料業界用産業ロボットの市場構造(細分業別)

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(データソース:MIR DATABANK

 

>20kg6-axisDeltaは食品飲料業界の主要産業用ロボット応用タイプである

 

食品・飲料業界に於ける産業用ロボットは主に>20kg6-axisロボットとDeltaロボットであり、市場シェアの80%以上を占めており、主にパレタイズ、仕分け、箱詰めで使われている。

l  >20kg6-axisロボットは主にパレタイズに使われている。現在多くの業界(食品業界を含む)が産業用ロボットをパレタイズに使用しており、その速度は速く、効率が高く、より重い物品を運搬することができる為、人的コストを効果的に節約できる。

l  フロントエンドの仕分けと箱詰めには主にDeltaロボットを使用しており、SCARAロボットは速度が遅い為、よく使われない。産業用ロボットによる仕分けは製品の品質の一致性を保証し、同時に生産効率を高める。

l  20 kg 6-axisロボットは主にバックエンドの箱詰めに使われておりまた、小物食品も少量のco-botを使用する。

2020年食品・飲料産業用産業ロボット市場規模(ロボット別)

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(データソース:MIR DATABANK)