業界観測

数年に亘り、工業分野の仕事で培った経験を通じ、客観的に蓄積した膨大なデータを基に、お客様へ弊社ならではの独自のアドバイスをご提供します。


ホームページ > 業界観測

新型肺炎は自動化全体の需要に悪影響を与えているが、一部には明るさがある

2020年第1四半期は、自動化メーカーにとって数年ぶりの辛い時期となった。1月下旬以降、国内疫病の深刻化により生産が中止され、3月以降、諸外国でも疫病が大規模に発生し、生産中止になってしまった。

2020年第1四半期、自動化市場へのまとめおよび展望


2020年第1四半期は、自動化メーカーにとって数年ぶりの辛い時期となった。1月下旬以降、国内疫病の深刻化により生産が中止され、3月以降、諸外国でも疫病が大規模に発生し、生産中止になってしまった。世界の供給チェーンと物流システムは未曾有の局面に直面した。この影響を受け、中国の自動化市場全体が大幅に下落し、業界本来の回復のシナリオが狂った。大部分の自動化メーカーの販売実績が落ち込んでいる。少数の企業のみが逆成長し、これは主に医療装置、リチウム電池、新エネルギー、物流、データセンターなどの業界に牽引された為である。通年で見れば、新型肺炎による不確実性は依然として存在しており、業界全体も厳しい局面に直面。


自動化業界におけるマクロ環境:内需が沈滞、外需が疲弊に

1四半期、中国は製造業への投資は疫病の影響で大幅に減少し、その下げ幅は2008年の金融危機を上回る。20201-3月、中国製造業の固定資産投資は前年同期比25.2%減少した。製造業電力使用量は7,282kwhで、前年同期比9.1%減少し、伸び率は前年同期比12.5ポイント下落した。

 

                                      image.png      

(データ出所:国家統計局、中国電力企業連合会)



また、諸外国にも疫病が広がり、外需にマイナス影響を与える。
20201-3月、中国の輸出総額は前年同期比11.4%減、輸入総額はマイナス0.7%減となった。

image.png

(データ出所:中国税関総署)

製造業PMIによると、20185月、製造業は大好況が現れたが、201811月から201910月にかけて約一年下落し、2019年第4四半期にはある程度安定した。PMIは三ヶ月連続して好況を維持。Q1以来、疫病により製造業の発展は妨げられた。

image.png

(データ出所:国家統計局)

 

内需と外需の二重の圧力を受ける為、第1四半期、自動化業界全体は圧力を受け、市場規模は263億元、前年同期比12%減少するが、一部には明るさがある。例えば、疫病にあまり影響されていない新興業界と疫病に恵まれている業界等。

2018-2020各四半期別の中国自動化市場全体の販売状況


image.png

(データ出所:MIR Databank

MIRは各業界が第2四半期の前年同期比12%は下落すると予測し、業界が回復かどうかはまだ結論を出すことが出来ない。第2四半期のマクロ経済から見ると、MIRが重点的に関心を持っているのは:(1)諸外国の疫病の転機、主要経済体の復活状況。(2)国内における新規、既存インフラが経済に与える牽引作用。

自動化セグメント顧客業界:OEM市場は異なる発展状況を呈し、プロジェクト型市場全体が下落

OEM市場:2020 Q1市場規模152億人民元で、同期比は5%減となる。

顧客業界における電子および半導体製造、電池製造、コンシューマエレクトロニクスなどの製造業の需要が比較的に旺盛、それぞれ前年同期比18%15%13%成長した。紡績機械、エレベーターと工作機械など労働集約的、製造加工を主とする伝統的な業界は深く影響され、需要は一定の圧力を受け、それぞれ前年同期比25%28%35%減少した。

2018-2020各四半期別の中国自動化OEM市場の販売状況

image.png

(データ出所:MIR Databank)

 

OEM業界における自動化製品の成長率

image.png


(データ出所:MIR Databank

OEM市場規模のトップ10の顧客業界セグメントを選び、工作機械、電子及び半導体製造装置、紡績機械、エレベーター、包装機械、電池製造装置、HVAC、クレーン、物流装置及び産業用ロボットを分析した。

2019年のQ3、電子及び半導体、電池製造装置、HVAC及び物流装置などの業界は全体より早く回復を始め、2020Q1は新型肺炎による影響が少なく、依然として10%以上の成長率を維持している。電子半導体や新エネルギー自動車を代表する製造業が、産業のアップグレードの勢いに乗り、製品の末端需要がマクロ経済の不景気にも関わらず、依然として成長している。業界の自動化の顧客の多くはアップル、CATLとテスラなどの大手企業であり、実力があり、資本支出は比較的安定し、持続的であり、また、業界の技術集約的な特徴も関連企業に自動化資本支出を維持し、生産効率を高め、競争優位性を確保。


image.png

(データ出所:MIR Databank

 

工作機械、紡績機械、包装機械、産業用ロボットなどの業界は自動化顧客の小型企業は多く、海外輸出の割合が高く、需要は国内マクロ経済と海外需要の影響が大きく、リスクの耐性が弱い。2019Q4の収入はマイナス成長からプラス成長に転じ、2020Q1は再びマイナスに転じ、関連資本支出の高い波動性を示した。


image.png

(データ出所:MIR Databank

 

クレーンとエレベーター業界の需要は不動産とインフラに牽引され、全体の変動は工作機械などの業界より小さい。2020Q1は下落状況を呈し、顧客業界は新型肺炎の為、稼働率が不足している。国内の再稼働は段階的に発展に伴い、業界の需要は安定的に回復することが期待されている。

image.png


(データ出所:MIR Databank

 

第二四半期を眺めると、MIROEM市場全体が7%下がり、下げ幅は第一四半期を上回ると予測。主な原因は現在、工作機械や紡織などの伝統的な市場セグメントが大きな部分を占め、内部のマクロ経済と海外需要との二重圧迫を受け、第二四半期への回復に困難がある。同時に、第二四半期で海外の疫病状況は有効な制御できなければ、新興産業への需要もある程度の影響を受ける。

プロジェクト型市場: 2020Q1の市場規模は110億元で、前年比21%下落し、化学工業、市政、石油化学、電力、冶金などの主要な業界は前年比それぞれに32%13%11%27%17%下落。

2018-2020各四半期の中国自動化プロジェクト型市場における販売状況

image.png

データ出所:MIR Databank

各プロジェクト型の業界における自動化製品の成長率

image.png


(データ出所:
MIR Databank

プロジェクト市場における最も大きな五つの顧客業界は化学工業、市政、石油化学、電力及び冶金の発展状況はほぼ同じ、2019年通年増長し、2020年に国内の疫病の衝撃により大幅に下落した。

 

image.png

データ出所:MIR Databank

 

第二四半期を眺めると、MIRがプロジェクト型市場における18%下落を予測し、下げ幅は第一四半期より小さい。一方、国内で生産を徐々に再稼働し、業界の成長率がマイナスからプラスへするストレスは依然として大きい。


 

自動化主な生産ライン:サーボは一番順調に成長しているが、低圧インバータの成長は楽観視出来ない

2020年の第一四半期、OEM市場がプロジェクト型の市場より強い需要に対応し、サーボは最も順調に成長し、前年比1%増加し、唯一のプラス成長の製品になった。低圧インバータは相対的に弱く、19%下落した。小型PLC2%下落)、HMI5%下落)、中大型PLC7%下落)の成長があまり変わらない。

 

image.png

データ出所:MIR Databank

メーカーから見れば、サプライチェーンにおける問題は工場が世界に分散するヨーロッパ系と日系ブランドに与える影響は顕著である。世界的な疫病の影響により、一部の国は既に生産をストップしたりや物流が止まるから、自動化のコア部品の在庫不足が深刻。例えば、IGBT、コンデンサ、電気抵抗などである。国産主流自動化公司は、特にPLCやサーボをカバーする製品ラインのメーカーがマスク製造機やCT装置などの疫病に恵まれた業界に牽引され、逆成長を達成した。例えば:信捷電気、拓斯達、川技術、禾川、歩科などである。

各陣営の自動化メーカーが主要製品における市場シェアの推移:

->サーボ市場

ここ数年、欧米系ブランドがミッドレンジ市場への進出および国産ブランドがミッドレンジ市場への浸透に伴い、二重圧迫の上で、ミッドレンジ市場の競争が更に激しくなってきて、日系メーカーの市場シェアが年々下がっていった。このような背景で、日系メーカーも市場の変化を積極的に対応し、汎用系製品のサプライヤーから汎用及び専門タイプの組み合わせのサプライヤー向けに変化し、一部業界のパッケージソリューションを提供した。


image.png

データ出所:MIR Databank

->PLC市場:

2017-2019年にかけて、欧米メーカーがPLCミッドレンジ市場をレイアウトをし始め、コストパフォーマンスが高い製品を発売し、一部の日系ブランドの市場を占めたが、国産ブランドの市場シェアは相対的に安定。

2020年の第一四半期で、医療装置の爆発的な成長に恵まれ、国産ブランドは高いコストパフォーマンス及び短い納期期間というメリットで、医療装置業界、特にマスク業界を迅速に布石を打ち、国産ブランドは2020年の第一四半期でのPLC市場シェアがの急拡大を促進し、特に小型PLC市場である。一部の日系主流のPLCメーカーにおける生産再開は相対的に早く、物流、リチウム電池、電子半導体、医療装置などの業界に牽引され、出荷量は前年比で欧米のブランドより成長率が高く、市場シェアが向上した。

image.png


データ出所:MIR Databank

image.png


データ出所:MIR Databank

->低圧インバーター:

2017-2019年にかけて、欧米系主流メーカー及び国内大手メーカーは高いコストパフォーマンスがある製品により、ミッドレンジ市場に布石を打ち、おまけに欧米系はある顧客に対して価額が日系価額より低い。二重圧迫で、日系メーカーのシェアが下がってきた。また、2018-2019年のプロジェクト市場がOEM市場より優れているため、欧米系メーカーがプロジェクト系市場の牽引に恵まれ、市場シェアの向上が速いが、国産ブランドは主にOEM市場に展開しており、市場シェアの向上は相対的に遅い。

2020年第一四半期で、いくつかの欧米系及び日系メーカーには、独自のサプライヤーチェーンの保障があるため、他のメーカーみたいに品薄の問題を抱えていなく、自分の本来から持つ市場シェアを確保た上、少々増やした。一部の国産メーカーのコア部品は輸入品であるため、一部の国産メーカーに出荷問題が発生し、市場シェアが少々下がった。


image.png

データ出所:MIR Databank