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新型コロナウイルスがロボット市場に与える影響と2020年の予測

中国のロボット市場にどのような影響を与えたか? 2020年には市場景気はさらに低迷するのか?本文はこれらの問題を詳しく分析しようと試みた。

    

春節期間に新型コロナウイルスの感染が拡大したため、工場の再稼働が難しく、物流輸送を妨げ、原材料の在庫不足などの問題が発生し、ロボット産業チェーンにも大きな圧力を与えた。中国のロボット市場にどのような影響を与えたか? 2020年には市場景気はさらに低迷するのか?本文はこれらの問題を詳しく分析しようと試みた。


一、疫病は産業用ロボット市場に与えた影響


1.1疫病が中国産業用ロボットの全体市場に与えた影響の分析:


2015-2020年中国産業用ロボットの出荷量と予測(台)

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(データ出所:MIR Databank)


l   2018年の成長率が大幅に鈍化し、下半期からプラスからマイナスに転じて以来、産業用ロボット市場の需要は4四半期連続で減少。2019年の下半期にはリチウム電池、太陽光発電業界への投資は安定し、3Cは回復し、5Gの建設は加速していた。新エネルギー自動車プロジェクトのキラーアプリケーションを背景に、ロボットの需要が回復傾向を示した。2020年に3C需要の増加(5G対応スマホへの買い替えブーム+アップル投資年)と自動車業界の回復に伴い、産業用ロボット市場は大幅な成長を迎える可能性があるが、新型コロナウイルスにより、この予測は楽観的と言わざるを言えない。しかし、疫病の状況が安定した段階に入るにつれて、マーケットの需要は徐々に拡大し、政府が関連経済刺激策を推進する可能性もあるため、産業用ロボット市場は次第に好転し、年間の成長率は5%前後と予想される。

 

l   2018-2020年中国産業用ロボットの四半期成長率と予測

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(データ出所:MIR Databank)


l  新型コロナウイルスにより、第一四半期の市場需要は急落した。全国的にこのような強い予防対策のもとで、MIRは疫病が第二四半期に効果的にコントロールされる可能性が高いと考えられる。企業の全面的な再稼働するにつれて、第2四半期と第3四半期の市場需要量が徐々に拡大している。今回の疫病により、雇用の困難さも製造企業の自動化レベルをある程度向上させ、機械が人の代わりに働くスピードを速める。また、下半期には政府が多くの景気刺激策を打ち出す予定。5G技術開発の加速に伴い、新エネルギー、医療、半導体など業界の成長に牽引され、2020年下半期にはロボット業界が爆発的な成長を迎える見込む。

 

1.2疫病は産業用ロボットの主要な顧客業界に与えた影響


新型コロナウイルスの影響により、全国的な休日が延期される。工場の再稼働が難しく、物流輸送が妨げられるため、産業用ロボットの顧客業界にある程度の打撃を与えた。もちろん、いくつかの顧客業界もある恩恵を受けた。 例えば、医療用品、物流など。


主要産業におけるロボット製品の成長率

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(データ出所:MIR Databank)


l  自動車の完成車:

自動車業界は低迷しているため、生産能力と在庫を調整しなければならない。自動車の消費刺激策は日に日に激しくなり、業界は2020年にプラス成長を実現すると予想されるが、新型コロナウイルスの影響を受け、オフライン販売はあまり楽観的ではなく、自動車業界も第2四半期に影響を受けると予測。製造業が再稼働遅れの影響を受けるため、自動車メーカーと部品メーカーは生産能力不足の圧力に直面している。自動車部品の産業チェーンが短いため、大きな影響を受けると予測。さらに、本体工場の生産にも影響を及ぼす。特に感染が深刻な湖北省では、東風ホンダ、上汽通用などの主流のホスト・メーカーと多数のTier1サプライヤーが集中しており、例えばボッシュ、TRW、江森自控など。新型クラウンウイルスにより、企業の再稼働時間が34月に遅れる可能性がある。今年上半期と下半期の市場パフォーマンスに大きな差があり、上半期の自動車産業への投資は大きな影響を受け、下半期はいい成長になるかもしれないとMIRは予測。さらに、この疫病は今年後半に自家用車の市場需要を刺激する可能性もあり、 最初(初回)の購入者は事前に車を購入するため、自動車会社は生産能力を向上させ、投資計画を実行しなければならない。総合的に見ると、2020年までに自動車業界のロボット市場は4%前後に下落すると見込む。


l  3C

3Cは労働集約的な企業であり、再稼働が難しい。携帯電話を例にして、需要側と供給側の両方が疫病の影響を受ける。需要側から見ると、疫病は直接にオフライン販売に影響を与え、例えば、アップルは現在一部の直販店を再開し、また、営業時間が大幅に短縮された。OPPOVIVOはオフラインに依存し、受けたインパクトが大きいと予想。2020年第1四半期、スマホのニーズは短期的には抑え、出荷高の下げ幅は40%を超える見通しである。供給側から見ると、疫病は携帯電話のサプライチェーンにマイナス影響(主に新規機種の生産プロセス)を与える。)ファーウェーは23日に再稼働したが、再生産というわけではなく、サプライチェーンの制約を受け、ファーウェーは現在、完全に元の生産能力を回復することはできない。また、アップルの代表的な製造メーカーであるフォックスコンは、再稼働状況が楽観的ではない。MIRは、疫病が安定すると、全サプライチェーンは残業などの方法で仕事の指標に達すると予定。今年の投資計画は大規模に遅延し、第2四半期と第3四半期に集中的に放出されると予定。

1四半期は感染の影響を受けたにもかかわらず、2020年、5Gスマホのブームで、成長性を変更することなく、小米は2月に5Gスマホ小米10を発表し、ファーウェーは第1四半期に5G折り畳み式スマホMate Xsを発表。また、アップルは3月に安価版のiPhoneを発売する予定で、引き続き値下げ・安価対策で中国市場シェアを取り戻す見通しである。新規機種の牽引以外、コンシューマ・エレクトロニクス業界自身のコンシューマ属性と季節性の特徴により、第1四半期の営業収入は通年に占める割合が高くなく、後期に影響を緩和し、第1四半期のニーズは旺盛期まで繰り下げられる。総合的に見ると、年間の予想成長率は一桁である。


l  医療製品:

疫病の発生により、医療関連業界は利益が上昇、特に医療材料を消耗する業界を主とし、マスク、ゴーグル、防護服などの製品はニーズが不足し、選別、包装などの活用シーンは産業用ロボットのニーズに対して上昇した。マスクを例にして、現在、主に専用マスク装置による生産し、マスクの材質が柔らかいため、また、自動化のロード・アンロードの運搬が困難であり、後工程包装のは人工操作であり、マスク工場の生産能力を抑える。産業用ロボットは後工程分野に大きな活用シーンがあり、現在、多くのマスク工場は後工程自動化改造を求めている。国産ロボットメーカーも、産業用ロボットとベルトコンベヤーの追跡とビション認識技術を組み合わせ、マスクの自動化包装を実現。

医療用品の包装は柔軟性があるため、現在は依然として労働集約型産業に属し、一部の生産シーンは衛生と安全に特定の需要があり、人工操作には不便である。将来、ロボットは当該分野で取り替えられる可能性が大きい。現在、包装ラインにはDelta或いはSCARAロボットを用いて、材料、選別、箱に入れ、、バーコードを貼るなどの操作を行い、六軸ロボットを用いて運搬、パレタイズを行っている。新型肺炎は業界のロボットに対する認識をはっきりさせて、医療業界では人工の代わりに、ロボットを利用するプロセスを加速させる。


l  太陽光発電:

2020年は太陽光発電業界に補助金を与える最後の一年であると予想。疫病は価格を競るプロジェクトの建設にマイナス影響を与え、また、太陽光発電業界に圧力に直面させたが、ニーズが緩和だけであり、ニーズ全体の影響は大きくない。今年の春節前に太陽光発電の競争価格政策が発表されたため、企業の準備また建設が比較的十分であり、2019年に一部の在庫項目が2020年に移転したため、年間太陽光発電の新規装置容量は持続的に増加。第1四半期、太陽光発電業界の伝統的なオフシーズンであり、企業の再稼働が進むにつれて、このような影響は予想より小さい。疫病は太陽光発電業界の変更プロセスを加速させる可能性が高い。また、疫病発生期間中、人員及びキャッシュフローの影響が大きい小型企業は淘汰され、業界の集中度の向上に役立つ。

補助金の全面的な取り消しを前に、太陽光発電企業は生産能力を加速し、産業用ロボットに更に多くの商機をもたらし、特に超高速SCARAの活用、例えばロボットはシリコンチップの洗浄、ストリング溶接機のロード・アンロードに活用される。


1.3    2020年機種別の産業用ロボットの成長予測


l  MIRの予測により、2020年産業用ロボット市場全体の成長率は約5%で、機種から見ると、DeltaCollaborativeSCARA製品の成長率は全体の平均成長率を上回る。


l  そのうち成長率が一番高いのはDeltaロボットである:Deltaロボットがコンパクト、高速、高精度、高柔軟性の利点によって、将来は電子、食品、日常生活用化学用品、医療用品などの業界での需要が大幅に増加し、例えば、Deltaロボットは物の選別、精密な組み立て、包装などに使われる。


l  次は協働ロボットである。協働ロボットメーカーの製品の継続的な改善と最適化に伴い、(例えば、電流ループ制御、大負荷、視覚集積、力制御システム、搭載するAGV技術の革新等)今後、協働ロボットの使用分野はさらいに広がる。また、今回の新型肺炎により、協働ロボット顧客業界の開拓を加速。例えば、医療物資の配送、医療製品の箱包装、工場/職場間の無人物流、無人小売等。


l  SCARA需要が拡大する可能性がある。2020年はアップルが投資する重要な時期であり、かつ新型肺炎は5G時代では携帯電話の取り替えブームに影響していない。3C業界の需要に牽引され、SCARA市場の成長率はマイナスからプラスに転じ、それに平均成長率を上回る可能性がある。また、リチウム電池、太陽光発電、半導体、自動車電子制御装置、医療業界も異なる程度SCARAの市場需要の拡大に寄与する。


機種別のロボット製品の成長率

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(データ出所:MIR Databank


 

二、新型肺炎は移動ロボット市場に対する影響


移動ロボットの定義

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  (データ出所:MIR Databank


現在、中国における移動ロボット市場は主にAGVを中心としている。AMRMOMA市場はスタート段階にあるが、発展スピードが速く、現在も外資ブランドが主流。移動ロボットは主に物流で使われ、3C、医療、教育業界でも使用される。2015年から、京東、SF、淘宝等が無人物流システムを模索しているが、技術とコストに抑えられるため、まだ大規模に普及していない。2017-2019年の移動ロボットは安定した成長を維持し、複合成長率は約20%である。


2017-2022年中国移動ロボット市場規模の推移(台)

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(データ出所:MIR Databank

 

移動ロボットの技術は絶えずアップグレードされており、現在は自主計画経路、スマート障害回避、工場を超える長距離搬送が可能になっている。移動ロボットは自動で充電でき、極端な生産環境では、人工に代わって重い物資の配送や危険な作業を行うことができ、これにより、生産効率を向上させ、生産の安全を保障する。新型肺炎感染が深刻な地域では、最前線の医療スタッフに取って代わり、人と人との接触を効果的に減らし、感染のリスクを減らすことができる。今回の肺炎によりロボット企業は無人配送、無人化学工場の探索を加速させ、安全、効率の無人化物流は発展を迎え、市場では移動ロボットに対する需要は急増。2020-2022年の移動ロボットの複合成長率は30%を超える見込み。


睿工業は2019-2022年の中国工業用ロボット市場の年度標準報告を発表します。

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