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2018年産業用ロボット市場におけるホットな話題の振り返り及び2019年見通し

2019年1月31日

2018年下半期以来、中国産業用ロボット市場は大幅に縮小、四半期同期比成長率は急下落。産業用ロボットは直近3年間爆発的な成長を見せたが、現在は困難な状況に直面している。

2018年下半期以来、中国産業用ロボット市場は大幅に縮小、四半期同期比成長率は急下落。産業用ロボットは直近3年間爆発的な成長を見せたが、現在は困難な状況に直面している。


MIR見解1:マクロ経済下振れ傾向等要因によってロボット市場は残酷な現状に直面している。2020年に市場回復が見込まれる。


  マクロ経済下振れ傾向及び中米貿易戦争等に影響され、2018年自動車、3C、リチウム電池等産業用ロボット川下業界での生産能力関連投資が急減。そのため、2018年後半以降、ロボット新規注文は大幅に減少。

  伝統的な産業用ロボットは、数年間の高成長率経て現在は市場飽和傾向がある。それに、他の潜在力ある市場がまだ未開発のため、市場成長の牽引役が不在。

  多数の国産製造業メーカの収益力は低い、自動化改造のための資金不足がに加え、製造業も不景気。それがロボット需要を抑えている。

  2018年産業用ロボット全体市場の出荷の成長率は5%未満で、2017年の約70%に比べ、大幅に下落。マクロ経済低迷及び市場の慣性により、2019年市場見通しが良くない、全体出荷の成長率は約-3%までに下落すると見込まれる。

  2019年年末、ロボット川下業界市場が回復可能性も。それは2020年産業用ロボット市場の回復を牽引可能。2020年産業用ロボット全体出荷の成長率は10%を上回ると見込まれる。


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MIR見解2:2018年ロボット市場は困難な局面に直面しているが、一部の優れたロボットメーカの業績が好調。

  ロボット市場は、2018年上半期の成長率が高い、下半期は急下落。全体の出荷はやや増加。全体出荷の90%以上を占めている6軸とSCARAロボットは、下半期に急にマイナス成長率を見せ、特に>20KG6軸ロボットは、2018年にマイナス成長を呈している。低出荷のパラレルロボット及び協働ロボットは、成長を維持しているが、成長が明らかに鈍化。

  ロボット市場は、2018下半期の下落の次に、2019年に、数年以来初めてマイナス成長率を呈している。6軸及びSCARAロボット出荷の下落幅は大きくなり、小型パラレルロボット及び協働ロボットの成長率は約30%を維持すると見込まれる。

  産業用ロボットの四強の中で、安川電機だけは10%以上の成長率を維持している。出荷が1万台を超えるロボットは、ほとんど伝統的な6軸ロボットで、強い競争力を持っている。安川が良好な業績を維持するのは、優れた製品とサービス、及び自動車、3C、建設機械等の業界での実績によるものである。

  OTC、パナソニック及び電装(DENSO)は、外資2線メーカの中に業績好調、20-40%の成長率を獲得。OTC及びパナソニックは、溶接ロボットにおける良好な影響力及び強い競争力により、建設機械等川下業界で多くの注文を獲得。DENSOは高CPのSCARA新機種を発売することで、ミドルレンジ細分市場への攻略に成功。

  ストーブリ(STAUBLI)を代表しているハイエンドロボットは、優れた製品性能を持っているため、高精度、大きな可搬質量等の需要を満足できる。残酷な情勢で安定した成長を維持。

  国産ロボットメーカの埃斯頓は、研究開発及び販売ルートへの高投入により、2018年同期比成長率は20%を上回り、国産メーカのリーディングカンパニーとなっている。埃斯頓の主力製品の6軸ベンド専用ロボットは、自主開発したベンド専用ソフトウェアを搭載し、ユーザーの利用体験及び製品性能を向上、顧客に幅広く受け入れられた。

  国産メーカの眾為興及び匯川科技はSCARAロボットに注力しており、ミドルローエンド市場で安定した業績を取った後、カスタマイズ化機種を開発開始、コストパフォーマンスを向上し、市場シェアを高まる。2018年両社は高成長の勢いを見せている。その中で、眾為興の出荷は3000台を上回り、SCARAリーディングカンパニーのエプソンとヤマハの次に位置している。

  国産協働ロボットのトップメーカ遨博は、2018年に高成長率を維持し、出荷において、グローバルトップメーカの優傲に近づく。中国協働ロボット市場で、優傲と遨博の市場シェアは計60%を上回っている。


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MIR見解3:2019年価格戦争は全面的に発生し、市場競争が激化

  ロボット市場の不調に直面している国産ミドルローエンドメーカ及び外資ロボットメーカは、価格戦争に参入しつつある。

  ロボット四強それぞれは、ラジカルな価格方針を策定し、値下げの比率は20%に達する。それは、外資ロボットメーカ及び国産ロボットミドルハイエンドメーカに大きな影響をもたらす。これらのメーカは価格戦争を対応する際に、異なる細分応用市場をより積極的に開発していく。

  ロボット市場は爆発的な成長を呈している数年間で進出したロボットメーカは、空前の圧力に直面している。例えば、資金調達、業績戦争及び価格戦争等。

  2018年、多くのロボットメーカは生産能力不足及び人材不足等問題を解決するために、投入を拡大している。但し、現在、価格戦争の中に巻き込むため、一部のメーカは資金ショットのリスクを避けない。

  SI(インテグレーター)は価格戦争の中に重要なキャラクターとなっている。SIと契約を締結したロボット大手メーカは、トータルソリューションのコストパフォーマンスを向上することで、ロボット市場で強い競争力を持っている。


MIR見解4:市場不調及び価格戦争は、国産ロボット部品メーカに発展機会をもたらす。

  減速機、サーボモーター等ロボットコア部品開発のハードルは高い。国産ロボットメーカは既に大きな進歩を取得したが、ハメルナコ、ナブテスコ等日系企業の支配的な地位を動かせない。

  ますます激化した市場競争及び価格戦争に基づき、ロボットメーカはコストを削減するために、国産部品を採用しつつある。国産減速機 (緑的、来福等)及びサーボモーター(匯川、禾川等)企業にとって、これは折角した機会である。この他、コア部品の国産化はもはや国家戦略となり、国産関連企業は政策支持及び政府の投資を受ける。

  ロボット部品外資大手メーカは、必ず値下げの方針で価格戦争を対応する。これは、産業チェーン川上に、激しい競争をもたらす。