業界観測

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專精特新「小巨人」企業9000社の詳細分析

より多くの「小巨人」企業の出現に伴い、今、中国製造業の発展が直面している課題を次々に乗り越え、技術問題を解决して、製造大国から製造強国への道は開ける。



最近、工信部(中華人民共和国工業情報化部の略称)は第四回国家認定の專精特新「小巨人」企業リストを発表した。現在までに工信部は累計で「小巨人」企業8997社を認定した。

*專精特新「小巨人」の企業リストおよび企業情報については、MIR DATABANK-企業モジュールにてご覧にいただける。


第一回目から第四回目までの国家認定の專精特新「小巨人」企業数(社)

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(データ出所:公開資料によりMIR睿工業が整理)

*:第一回国家認定の專精特新「小巨人」企業の3年時効期間が過ぎ、今回の認定で、第一回目認定の「小巨人」企業のうち、審査に合格したのは155社である

 

專精特新の概念は2011年から生まれ、2016年に本格的に導入した。2019年に初めて国家認定の專精特新「小巨人」企業リストが発表された。第14次五ヵ年計画時期に入ってから、国家は專精特新「小巨人」企業に対するサポートを再び強化した。2021年初めに財政部、工信部が共同で印刷した文書の中で中央財政専門プロジェクトの資金を100億元以上手配し、1000余りの国家認定の專精特新「小巨人」企業のイノベーション投資をサポートしたと発表した。

これは、国が專精特新「小巨人」企業の政策概念を提出した後に初めて支給した資金補助であり、すぐに全国各省が続々と本省の補助政策を発表し、補助資金は10-50万元/社等であった。2022年9月最新の専精特新「小巨人」のうち、例えば越疆科技、集芯科技、賽元微電子等がそれぞれ220万元以上の発展補助金を獲得した。


専精特新企業育成の目標/専精特新企業に対する各省の補助金

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(出典:MIR DATABANK


中小企業は国民経済発展の命脈であり、「専精特新」が近年ますます重視されるようになったのも主にそのある程度で「ボトルネック」問題を解决することができるからである。中国はすでに世界一の工業大国になったが、基礎材料、製造業の核心基礎部品等の中核分野ではまだ発展不十分である。「専精特新」企業を育成するのが中国産業チェーンとサプライチェーンの安定性を全体的に高めることができ、「核心」の技術的問題を解決することができる。MIR睿工業は今回第四回認定の9000社ぐらいの専精特新「小巨人」に対して、企業促成、エリア、業界の3つの面から分析した。

 


非上場企業が高いシェアを占め、上場予備企業の育成が加速

 


この9000社の専精特新「小巨人」企業の中で、非上場企業が約90%の割合を占めて、A株上場と新三板上場企業の割合はほぼ同じで、それぞれ5%を占めた。ほか、香港株上場の企業もあるが、数は少ない。


国家専精特新「小巨人」企業上場状況比率

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(出典:MIR DATABANK


専精特新とは、専門化・精密化・特徴化・斬新化が際立った中小企業を指し、「小巨人」はその中の優れた者である。このような企業は通常セグメント市場に注力して、革新能力が強くて、市場シェアが高くて、肝心な核心技術を有しており、品質と利益の優れた先頭に立つ企業である。専精特新小巨人企業の特性は小規模で専門で、会社規模は上場企業に比べて一定の差が存在している。 

しかし、近年、国や各地方政府が専精特新企業の上場をサポートしている。2021年以来、 国は一連の政策を打ち出し、工信部に認定された専精特新中小企業にサポートを提供し、また北京証券取引所を利用して資本市場への明確な方向と指標を提供し、技術のある製造型中小企業、専精特新の革新型中小企業は最も北京証券取引所で上場する会社となった。

しかし、現在のデータを見ると、9割の専精特新「小巨人」企業はまだ上場しておらず、上場を加速し、より多くの専精特新「小巨人」企業の証券取引市場への上場を推進し、効率的な資金調達の道を開く必要がある。

 


東部地区の「小巨人」企業が多く、浙江省がトップ

 


四回の認定で合格した專精特新「小巨人」企業は全国31の省市区をカバーし、その中で東部地域の「小巨人」数は全国総数の60%以上を占め、中部地域は24%ぐらいを占め、西部地域は合計14%を占めた。このような「偏り」の特徴は、全体的に中国の地域経済発展の不均衡の特徴と合致している。

エリア状況から見ると、長江デルタ、珠江デルタ、山東、北京等の地域は「小巨人」企業の多くある地域であり、これは長江デルタ、珠江デルタ地域の高い産業集中度に深くかかわっており、相対的に安定した産業チェーンの川上と川下の協力関係を形成している。そして、中部地域の湖南省、安徽省、河南省、湖北省、北京・天津・河北省地域の河北省も「小巨人」の集積地である。天津、西南の四川省、重慶市等の地域の企業数は中等である。北西と東北の「小巨人」企業数は全体的に少ないが、遼寧省は東北三省の他の2省に比べて全体的に上位に位置し、東北で特色のある地域である。


国家認定専精特新「小巨人」企業の所属地区分布(四回合計)

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(出典:MIR DATABANK


この四回国家認定の専精特新「小巨人」の中で、浙江省が数千社が選らばれ、企業数が第一位であった。江蘇二位、山東三位に位置し、広東省と北京市がそれぞれ第四位と第五位に位置していた。総合すると、上位5の省市が所有する「小さい巨人」企業の数は全国総量の40%以上を占めた。

浙江省は中小企業が多い省であり、中小企業の数量は全国の第三位に位置し、産業の基盤は強い。そのため、浙江省専精特新企業の育成を良好な基礎を打ち立てた。さらに、浙江省の産業構造は主に機械加工、特に装備製造業、汎用機械加工、専用設備等である。これらの業界はまさに最も専精特新小巨人企業を育成しやすい産業である。同時に、数が最も多いのは、浙江省の産業クラスター、産業地域の分布と関係がある。浙江省の地域経済、産業クラスターの特徴は比較的に鮮明で、全ての専精特新中小企業は工業の大都市や県区で育成された。


各省の国家認定専精特新「小巨人」企業数(社)

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(出典:MIR DATABANK



製造業は九割のシェアを占め、多くは化学工業、自動車、半導体業界に分布


 

業界からみると、四回の専精特新「小巨人」企業は主に製造業に集中的に分布しており、すべて専精特新「小巨人」企業の九割ぐらいを占めた。コンピューター・通信・その他電子機器製造業、専用機器製造業、汎用機器製造業、化学原料・化学製品製造業、電気機械・器材製造業、自動車製造業、計器製造業等の分野をカバーした。

また、科学研究・技術サービス業や情報伝送・ソフトウェア・情報技術サービス業は、現時点では割合が低いものの、増加傾向にある。


四回の専精特新"小さい巨人"企業所属業界TOP15

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(出典:MIR DATABANK


セグメント業界の中で、4回の専精特新「小巨人」企業の多くは基礎化学工業、自動車、半導体、自動化、電子製造業界に分布している。

化学工業はの分類が細かいので、化学工業企業は基本的に長期的に化学工業チェーンの一部に注力しており、取扱製品は特定の細分化分野に専属している。そのほか、一部の化学工業企業の主力製品は産業チェーンのうちで最も重要で、工業「六つの基礎」分野の重要な基礎材料に属し、航空宇宙設備、省エネと新エネルギー自動車産業、電力設備、新材料産業の発展を支える核心材料であり、認定に合格する可能性が高い。

新エネルギー自動車、半導体、電子部品製造業界は最近急速に発展して、市場の需要は多い。同時にこれらの業界のハイエンド技術は現在国産企業がまだ掌握していなくて、国が研究開発投資を強力にサポートする方向でもある。

 

 

最後

中央政府のサポート、各地方政府及ぶ各関連部署の多額の補助金の支援の下で、近年、専精特新中小企業の育成はかつてないレベルまで上昇している。多くの中小企業が専門分野に注力し、イノベーション能力を高めることは、国の中小企業の革新発展を推進し、サプライチェーンを最適化し、重要な中核技術を乗り越え、「技術核心」問題を解決するために重要な意義がある。より多くの「小巨人」企業の出現に伴い、今、中国製造業の発展が直面している課題を次々に乗り越え、技術問題を解决して、製造大国から製造強国への道は開ける。