業界観測

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第2四半期の産業用ロボット市場は前年同期比13%減、通年では2桁成長を維持する見

MIR DATABANKのデータによると、2022年上半期中国産業用ロボット市場の出荷台数は前年同期比1.5%増の131,082台だった。



MIR DATABANKのデータによると、2022年上半期中国産業用ロボット市場の出荷台数は前年同期比1.5%増の131,082台だった。第1四半期の産業用ロボットの川下市場の需要は多く、高いベースを背景に依然として21.4%成長した。疫病の影響で、第2四半期の市場は明らかに弱まり、9四半期連続で初めて下落し、前年同期比13%減となった。それにしても、2022上半期全体は依然として小幅なプラス成長を維持している。

2018-2022年産業用ロボット四半期別の市場規模(台)

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(データ出所:MIR DATABANK

 

業界の景気は更に分化し、>20kg 6-axisCobots

勢いに逆らって急成長し、国産メーカーのパフォーマンスは更に良い

 

業界別に見ると、疫病の下で業界のパフォーマンスの違いが際立っており、新エネルギー車、リチウム電池、太陽光発電、医療、半導体等の新興業界の需要が旺盛で、市場を牽引しているが、3Cや一般工業向け投資は更に減少。

l  2022年上半期、中国新エネルギー車生産・販売台数は前年同期比1.2倍増し、自動車の電動化・ネットワーク化・軽量化への需要は、自動車&自動車部品&自動車電子等の業界でロボットのアプリケーションを加速させる。リチウム電池や太陽光発電業界は、「カーボンニュートラル」等の政策や国内外の川下市場の需要に牽引され、好況し続けている。半導体、医療、物流運輸等の「人気を集める」市場は、高い成長を維持している。

l  上半期のスマートフォンメーカーの在庫が多く、頻繁に受注をキャンセルし、ノートパソコンとタブレットPC市場はこれまで疫病による恩恵を受けて2022年に需要が大規模に放出され、ウェアラブルデバイス市場は徐々に成熟期に入って、新製品のイノベーションは不足による市場の成長率は低下し始め、また、新世代メタバースの「VR/AR」製品はまだ発売していない為、3C全体業界の需要が低迷している。金属加工業等の一般工業は疫病、マクロ経済の低迷、コモディティの値上げ、輸出制限等の影響を受け、川下市場の需要増が鈍化した。

l  非工業市場のうち、新小売、健康理学療法、飲食、教育等の分野は疫病の影響を大きく受け、ロボットのアプリケーションが減少した。しかし、電力巡回検査、機関車巡回検査、ライフサイエンス等のセグメント市場は良好な業績を示した。

2022年産業用ロボット川下産業別の出荷台数前年比成長状況(%)

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(データ出所:MIR DATABANK


モデル別に見ると、2022年上半期は>20kg 6-axisCobotsが勢いに逆らって高い伸びを示し、残りのモデルは成長の鈍化か下落傾向を示した。

l  新エネルギー車及び部品、動力電池、物流等の分野で>20kg 6-axisのアプリケーションが多くなり、上半期の市場シェアは初めて30%を超えた。

l  Cobotsは、自動車部品や自動車電子、半導体等の工業分野で好調。また、飲食、新小売 、教育、医療健康等の非工業市場はコロナの影響を大きく受けたが、電力、巡回検査等の出荷量は安定。

l  SCARAは太陽光発電、動力電池分野での使用シーンが豊富になり、高速・高荷重SCARAへの需要が増大する。疫病の影響で、鼻咽頭スワブの生産、抗原検査キットの組立、核酸検査・分析、消殺防護用品の生産、ワクチンの調製等の医療関連分野で、SCARAへの需要が急増している。しかし、第2四半期にはSCARAの主力市場である電子業界の需要の減少が顕著。

l  ≤20kg 6-axisは前年同期より大幅に落ち込んだ。そのうち、デスク型は電子業界の消費低迷による市場需要が鈍化した。汎用型とベース・アーク溶接≤20kg 6-axisは疫病、コモディティの値上げ、海外輸出の減少等の影響で、金属加工に代表される一般工業市場は衝撃を受け、マシニング加工やアーク溶接への需要が減少した。

l  Deltaは食品飲料や日用品等の分野で広く使用され、消費低迷により前年同期比で減少した。

2022上半期中国産業用ロボット主要製品の成長状況

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(データ出所:MIR DATABANK


国産・外資系メーカーの発展状況を見ると、2022年上半期国産メーカーのシェアは更に伸びて37%に達し、過去最高を記録した。

l  外資系メーカーがサプライチェーンの問題に深刻に制限され、生産と販売のバランスを取ることが難しい状況とは異なり、国産メーカーはサプライチェーンの優位性によって、納期は去年より遅れたが、全体的にコントロールでき、パフォーマンスは相対的に良好で、それによって上半期市場の成長を牽引した。

l  新しい市場状況は企業のサプライチェーン管理に対してより高い要求を提出し、中国市場に於ける外資系企業の現地化サプライチェーンの構築を加速することが期待され、国産企業の部品の国産品による輸入品の代替プロセスを加速させる。

2021H1及び2022H1産業用ロボット市場に於ける国産・外資系メーカーの割合状況

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(データ出所:MIR DATABANK

 

産業用ロボット市場は回復の兆しが見えており、下半期には景気回復が期待される

 

感染予防・抑制の正常化に伴い、サプライチェーンの圧力が徐々に緩和されている。

第2四半期の市場の下落は、主に疫病の影響を受け、新型コロナは次第に効果的にコントロールされ、生産と輸送が正常に回復し、後半のロボットメーカーの納期は好転を期待している。同時に、電子業界の需要減少に伴い、チップ資源の再配分が期待され、チップ市場の受注キャンセルが頻発する中、これまで買いだめをしていたチップメーカーは在庫消化を急ぐ可能性があり、ロボットのチップ不足は2023年には緩和されると期待されている。

業界の成長は確実性が高い。

下半期には安定成長政策が力を発揮する見込みで、製造業の投資は強靭性を維持し、産業用ロボット業界の景気回復を支える。下半期には新興業界の投資は依然として旺盛で、従来型一般工業のロングテイルマーケットは回復する見込みである。下半期に間もなく開催される中国共産党の第20回全国代表大会も市場に更に良いニュースをもたらす。

工業輸出の牽引作用が引き続き強化された。

1-6月工業企業の輸出納品額は10.8%増加し、そのうち、4月は1.9%減少した後、5、6月はそれぞれ11.1%と15.1%増加し、二桁成長し、ハイエンド設備製造業等の多くの工業製造業企業は対外貿易の面で好調。

疫病を背景に、製造業の各分野では人件費の圧縮や人手不足の解消を目的とした自動化のニーズが高まり続け、機械による手作業の代替を加速させる。

従って、MIR睿工業は2022年産業用ロボット市場は2桁成長を維持し、前年同期比12%の成長率を維持すると予測される。

2015-2025年中国産業用ロボット市場販売規模(台)

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(データ出所:MIR DATABNAK