業界観測

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資本に支持された将来性がある産業用3Dビジョンサーキット

上半期の資本市場が全体的に低迷し、投資がますます慎重になる中で、産業用3Dビジョンの人気が衰えないのはなぜか。


 

現在まで、2022年産業用3Dビジョン分野では既に10件以上の大規模な投融資案件が発生した。上半期の資本市場が全体的に低迷し、投資がますます慎重になる中で、産業用3Dビジョンの人気が衰えないのはなぜか。


2021年以降の産業用3Dビジョン分野の主な投融資案件

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(情報源: MIR 睿工業が公開資料により整理)


この問題に答えるには、資本の利益追求性に着目するのが当然であり、この「利益」は産業用3Dビジョンの「潜在力」を指す。一般工業製品の発展規律から産業用3Dビジョンの独自性が見られ、この独自性はまさにその際立ったキーである。一方で、現在の現状と将来の市場ニーズから、その将来性が期待できると予想される。

備考:全文「産業用3Dビジョン」はいずれも産業チェーンに於ける「3Dビジョンソリューション」の一環を指す

 


Chapter1その際立ったキーの独自性

 


産業用3Dビジョン分野の内資と外資メーカーはほぼ同じスタートラインで競争しており、伝統的な産業用分野に於ける「外資の圧倒的な先発優位性」に縛られることはない。

 

01伝統的な産業


中国の制造業、特にハイエンド自動化業界には、このような「共通の問題点」が普遍的に存在しているといえる。

外資系メーカーには明らかな先発優位性がある:技術面の蓄積がより深く、人材の備蓄が豊富である。ビジネスの面は業界の優良な販売ルートと資源を占有し、顧客の粘性が高い。その為価格も高く、ハイエンドの使用シーンで圧倒的な優位性がある。

内資メーカーは後発者としての開拓に苦労:技術力の面では一般的に外資に比べて弱い。ビジネスの面で資源は限られており、多くはまず小さな取引先や簡単なアプリケーションから事業を展開する。優遇された価格、カスタマイズされた開発案と積極的なアフターサービスによって市場を開拓し、ミドル・ローエンドの使用シーンで激しく競争している。

産業用ロボット産業を例にとると、FANUC、ABB、KUKA、YASKAWAという「上位メーカー4社」は既に50年近くの製品の歴史を持っており、中国市場に参入したまでの時間も20年余りある。これに比べて、国産ロボットブランドは元の自動化設備メーカーの事業拡大(例えば、ESTUN、Inovance等)や資源の限られたスタートアップメーカーであり、最大10年余りのロボット事業の歴史しか持っていない。


産業用ロボット「上位メーカー4社」の発展時期内訳

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(情報源:MIR睿工業が公開資料により整理)


これらの早くからロボット技術を蓄積し、中国市場に参入した外資メーカーはまず製品の性能プロセスの上でコア競争力を持っている。次に、上流のサプライチェーンの各部分の優良メーカーと深い提携関係を結び、部品のカスタム化のレベルとブランドの適合度を大幅に高めた。また、川下のインテグレーター、機器メーカー等と提携関係を結び、資源共有を通じてより順調に市場を開拓する。最後に、顧客の使用習慣を身につけた後、製品とブランドの粘性を形成し、安定した出荷を実現し、市場シェアを保証する為に、先にチャンスをつかんでユーザーを育成する。

同時に、出荷量が多く、知名度があると、技術最適化・革新を支援する為の資源が増え、顧客に製品が認められ、サプライチェーンも優遇価格を与え、好循環になる。その根本的なところは「」という字の おかげである。


ロボット外資系上位メーカーの好循環

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(情報源:MIR DATABANK

 


02産業用3Dビジョン



中国の工業市場の自動化率は徐々に高まり、それに伴って工業の良品率と「機械で手作業を代替」の需要が更に高まっている。この時、従来の2D産業用ビジョンでは物の深さ情報が得られないし、環境、光の干渉を受けやすい等の不足が徐々に顕在化し、3Dビジョンの産業用分野でのアプリケーションが登場した。従来の工業とは異なり、産業用3Dビジョンは中国市場で登場した当初、中国国内資本と外資の「公平な競争」の態勢だった。

技術の面で:ハードウエア、ソフトウエア面で双方に大きな差がなく、内資メーカーがより早く「AI+3D+ロボット」の相互エンパワメントを行っている。

ハードウェア:3Dビジョン・イメージングソリューションは2Dカメラに基づいて行う構造とソフトウェアの再構築である為、カメラは部品として外部購入することが多く、ここでのハードウェア技術は3Dイメージングソリューションの能力に重点を置き、一般的には精度、環境・光干渉、対象物の光反射、視野の大きさ等のパラメータに注目している。現在、内外資製品はこの面であまり差がなく、ユーザーの需要を完全に満たす為には、まだ進歩の余地がある。


主流の3Dビジョン・イメージングソリューション

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(情報源:MIR DATABANK


ソフトウェア:3Dビジョンソリューションに於けるソフトウェアの品質はアルゴリズムとアプリケーションによって決定される。アルゴリズムのレベルで、内外資メーカーは最初に全て成熟したプラットフォーム、例えばhalcon、VisionPro、CK Vision等の上でソフトウェア開発を行った。現在のスタートアップメーカー、例えばMech-Mindも品質検査プラットフォームMech-DLK開発し、これらのプラットフォームの成長、成熟に伴い、内資と外資のアルゴリズム上の差は更に減少した。アプリケーションの面では、内資メーカーのソリューションのカスタマイズ能力が強い為、現在は多くのプロセスパッケージの形式を使用してユーザーに提供し、使いやすさで強い。

AI3Dとロボットの相互エンパワメント:ロボットは人間の腕に相当すると言えば、作業の動作を担当する。3Dは目に相当し、外部情報を取得する。AIは脳のようなもので、「腕と目」に能動性を与え、認知と意思決定を指導する。「目」では、見本を学習させた後、より正確に画像を識別し、類推する。 「手」では、最適な経路を計画し、効率を高める。AIのサポートがあってこそ、3Dは最大限に優勢を発揮するが、その技術チェーンが長く、やりやすくて精熟しにくい為、実験室から復雑な工業の現場に使用されるのは困難が多く、今は相変わらず競争の重点である。

ビジネスの面で:外資系の上位メーカーはもともとの知名度により、内資メーカーをやや上回る

主なメーカーには主に2つのタイプがある:国内資本のスタートアップメーカー、元2Dビジョン分野の内資・外資上位メーカーである。産業用3Dビジョンの開発が遅かった為、現在の産業チェーンはまだ成熟していない。外資系上位メーカーはブランド知名度、上流部品供給等の面で一定の優位性があるが、ハンドルを形成するには十分ではない。内資メーカーの方がカスタマーサービスに強みがある。全体的にはブランドに対する市場の包容度が大きく、内外資双方の差は大きくない。

 


Chapter2産業用3Dビジョンの将来性

 


01産業用3Dビジョン全体の市場は大きな余地がある


MIR によると、2021年産業用3Dビジョン市場出荷量は2.7万セットに達し、産業用マシンビジョン市場の出荷全体の5%未満を占めている。3Dビジョンは発展の初期にあり、市場はその需要に対してバルブを開けたばかりで、その製品とソリューションも全てまだ成熟していない、現在主流のメーカーは小ロットの導入と試用を主にしている。2~3年程度の検証期間を要する見込みで、その後は大量の出荷が可能になる。

2017~2025年産業用3Dビジョン市場規模と予測

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(データ出所:MIR DATABANK


2017~2025年産業用マシンビジョンに於ける産業用3Dビジョンの出荷量シェアの推移

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(データ出所:MIR DATABANK

 

02 ガイド系アプリケーション内資スタートアップメーカーのチャンスが拡大


3Dビジョンは検査、測定等の識別系シーンで使用され、ロボットを誘導してつかみ(搬送、仕分け等)やプロセス(溶接、接着剤塗布、研磨等)の完成等のシーンにも使用される。

識別系のアプリケーションに於いて、元の2Dビジョン上位メーカーの優位性が大きい:産業用2Dビジョンの中でより強い技術と顧客の蓄積を介して、上位メーカーは例えばKEYENCE、海康威視等は全てこの使用シーンの中で大きな出荷量を達成した。

ガイド系アプリケーションでは、内資のスタートアップメーカーが優位に立っている:このようなアプリケーションに於いて、内資と外資はいずれも多くの蓄積がなく、内資のスタートアップメーカーはこれを重点として計画案を設計し、実施している。


産業用3Dビジョン・アプリケーション分類

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(情報源:MIR DATABANK


MIR睿工業の統計によると、2021年産業用ロボット市場規模は25万台に達し、長期的に安定した成長を維持する。ロボットの導入量の増加は同時にガイド系3Dビジョンの導入台数増加の機会でもある。2021年の3Dビジョンガイド系の出荷量は前年同期比100%増加し、今後5年以内にも複合成長率が40%を超える速度で成長すると予測している。

2017~2025年産業用ロボット市場規模と予測

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(データ出所:MIR DATABANK


2017~2025年3Dビジョンガイド系の市場規模と予測

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(データ出所:MIR DATABANK


ガイド系のアプリケーションの中で、3Dビジョンシステムとロボットの共同作業を必要とし、アルゴリズムとソフトウェアのレベルを要求し、一定の技術的な障壁がある。また、セグメント・アプリケーションの種類が多いので、ビジョンメーカーは顧客現場に対して深い理解と強い案の開発能力が必要である。外資系メーカーがアプリケーションの需要がある程度の規模を形成した時に開発案を考えるのに比べて、内資メーカーはよく顧客の需要とサービスに対して積極的に対応する。上記の理由に基づいて、内資のスタートアップメーカー、例えば梅卡曼德、埃爾森等はガイド系のアプリケーションの中で大きな市場シェアを占めている。

MIR睿工業の調査結果によると、2021年の市場では内資が70%超を占め、引き続き拡大する見通し。


3Dビジョンガイド系内外資シェア

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(データ出所:MIR DATABANK


上記のように、産業用3Dビジョンには天の時:業界発展の初期、内資と外資がいずれも急成長し、実力は大体同じ。地の利:中国制造業のこの3Dビジョンに対する需要が大きい市場。人と和:メーカーの注力と資本の支援等の三つの優勢があり、その独自性と将来性はその巨大な潜在力を决定し、資本に注目される。


機会と挑戦は常に共存しており、産業3Dビジョンの将来性があるにもかかわらず、依然として多方面の挑戦に直面している。その1つは、競争が次第に激しさを増し、KEYENCE、海康威視、華睿等の元の2Dの上位企業がいずれも積極的に事業を展開しており、一方では新しいメーカーが絶えず参入しており、成長したばかりのスタートアップメーカーは「腹背に敵を受ける」に陥っている。その2つは、産業チェーンが下に向かって覆うリスクであり、2Dビジョンの上流カメラ、照明等のメーカーが次第に中流ソリューションの事業を展開し、元の中小型プランメーカーが生存空間を奪われ、ひいては退出する現象であり、3Dビジョンも同様のリスクに直面している。その3つは、利潤と市場占有率のバランスにより、国内資本メーカーは往々にして急進的な価格戦略を使用し、前期の開発のコストが高く、プランを迅速に複製し、利益を得ることは当面の解決すべき問題である。その4つは、堀を作り、受けた利益は最終的に無くなり、サーキットで勝ちたのは必ず強い独自性とコア競争力を持つ会社である。これからは各メーカーがどのように対応するかと期待される。