業界観測

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Q1センサーの受注数量が急増し、2022年市場は急成長を維持し続けるのか?

MIR DATABANKのデータによると、2021の中国産業用センサーの市場規模は前年比32.5%増加した。


 

中国スマート製造の発展に伴い、産業用センサーのアプリケーションシーンも拡大している。2021年、中国内外市場の「二輪駆動」により、自動車、新エネルギー、従来型機械などの製造業界の需要は旺盛で、中国産業用センサーの市場は大幅な成長を迎えた。MIR DATABANKのデータによると、2021の中国産業用センサーの市場規模は前年比32.5%増加した。

2022年初めに、製造業の市場環境はよく変化し、産業用センサーの発展に多くの不確実性をもたらした。2022Q1の産業用センサー市場の発展はどうだろうか?2022年のセンサー市場がどうなるのか?以下それについて分析する。

*本文に於ける産業用センサーの範囲:光電スイッチ、近接スイッチ、安全センサー、変位センサー、ビジョン製品、RFID

 

01. 2022Q1、産業用センサー市場は依然として高い成長を維持

 

MIR DATABANKのデータによると、2022Q1の産業用センサーの市場規模は前年比18.1%増の約41億元である。川下産業の発展を見ると、市場の成長は主に以下の三つの原因によるものである:

    川下の新エネルギー自動車、リチウム電池、物流などの業界の成長が比較的激しく、川下顧客の投資は旺盛により、産業用センサーに対する需要を牽引した。2022年Q1、中国新エネルギー自動車の生産・販売数量は前年比1.4倍増加し、大幅に成長した。リチウム電池市場は需給が共に旺盛であり、メーカーは生産を拡大し続けた。不完全な統計によると、Q1に約15の動力電池プロジェクトを着工し、投資総額は1300億元を超えた。

    2021年に、一部企業のQ4受注が2022Q1に延期されたことも、市場成長の一因となった。チップと原材料の不足に悩まされ、各メーカーの製品の納期に影響があり、受注が遅れた。

    中国国内の新型コロナが繰り返しているため、食品飲料や医療業界の需要も増加傾向にある。2022年以来、各省・市では新型コロナが絶えず発生し、缶飲料・ビールとインスタント食品製品に対する消費と投資を牽引し、食品飲料業界は安定した成長を維持している。医療分野では、体外診断と実験室自動化が新型コロナに牽引されて急速に発展し、センサーの需要を牽引した。

また、一部の業界では下落が顕著で、例えば風力発電市場は昨年の下落傾向を継続した。2021年に風力発電の補助金支給が停止し、一部の延期されたプロジェクトは2021年に受注納入を完了したため、2022年Q1の受注額と納入額はいずれも不振で下落傾向を示した。

製品セグメントの発展を見ると、2022Q1、各製品セグメントの成長率はいずれも16%前後である。その中で、RFID製品の成長が最も速く、成長率は20%を超えた。RFID技術は非常に成熟しており、当初は居民身分証、生鮮果物のトレーサビリティ、スマート駐車などの民生用分野で広く使用されていた。現在、RFID技術は民生用アプリケーションから産業用アプリケーションへの転換過程にあり、川下顧客の需要は絶えず増加し、産業用追跡、トレーサビリティ、品質管理の分野でのアプリケーションは比較的多く、ここ数年ずっと急速な成長を維持している。

また、ビジョン製品のマスと成長率はいずれも好調である。ビジョン製品は産業用センサーの国産化レベルが最も高い市場セグメントであり、海康威視、大恒、大華などの上位国産メーカーの市場シェアは絶えず上昇している。2022年Q1、ビジョン製品の成長率は19.9%で、主に川下の新エネルギー、物流、自動車、医療、電子などの業界の需要が旺盛で、Q1の売上高の成長を牽引した。

 

2022年 Q1製品ラインセグメントの成長状況

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(データ出所:MIR DATABANK

 

02.2022Q1各メーカーの受注数量が急増し、Q2の出荷が難しいと予想される

 

2022年Q1 MIR睿工業が重点的に注目する産業用センサーの上位20メーカーの中で、5社のセンサーの受注数量は前年比50%以上増加し、その他のメーカーはいずれも20%以上である。主要メーカーのフィードバックによると、Q1受注数量の急増は、主に川下顧客が買い物を前倒ししたため、顧客は製品の納期が持続して延期され、生産の納入に影響を及ぼすことが懸念され、一部の顧客の発注は四半期前から一年前に変更され、Q1受注数量は大幅に増加した。

然し、中国国内の多くの地域で新型コロナが発生したため、産業用センサー市場の出荷は深刻なマイナスの影響を受けた。MIR DATABANKの情報によると、中国の産業用センサーメーカーは主に長江デルタと広東省に集中している。2022年以降、華東・華南地区では新型コロナ流行が続いており、特に3月下旬には上海で生産中止し、工場では出荷ができず、一部メーカーのQ2の出荷に大きな影響を与えると予想される。

 

中国センサーメーカーの地区分布

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(データ出所:MIR DATABANK

 

上位メーカーの中で、Keyence、ifmなどの物流倉庫は上海にあり、上海の封鎖により、4月に出荷できなかった。現在、新型コロナの状况は依然として厳しく、Q2全体の受注や出荷に与える影響が続くと予想される。このほか、一部のセンサーメーカーも上海に原材料が停滞しているため、国内工場に原料がなく、生産を開始できない。

センサーの納期も川下顧客が非常に関心を持つことである。MIR睿工業の情報によると、現在、外資ブランドの納期はいずれも一定の影響を受けており、主にチップなどの原材料が不足し、工場の生産能力の供給が不足しているため、供給が間に合わなかった。現在、外資メーカーに於ける通常の製品の納期は2-6ヶ月であり、一部の製品の納期は半年を超え、更には1年に達する。市場全体を見ると、納期状况は「国産ブランド」が「日系ブランド」より優れ、「日系ブランド」は「欧米ブランド」より優れている。中国国産ブランドは主に国産チップを使用しており、その納期は外国のチップ不足の影響を受けず、工場の生産と供給状況は基本的正常であり、通常の製品は現物を提供することができる。外資メーカーの中で、KeyenceはQ1の納期が比較的良く、製品の納期は基本的1ヶ月以内であり、僅か5%未満の受注で欠品状況があったが、上海の疫病が続いているため、KeyenceのQ2の納期に一定の影響を与えると予想される。

新型コロナや原材料の値上げの影響により、各メーカーの製品コストは絶えず上昇しており、一部のセンサーメーカーも3月末から4月初めに値上げし、上げ幅は2%~20%となった。

2022年4月Panasonicに於ける値上げのお知らせ

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 現在、大部分の産業用センサーメーカーも川上チップなどの原材料の更なる値上げや納期の更なる延期を避けるため、事前に在庫を準備している。しかも、大口顧客が流出しないことを保証するために、大口顧客を優先した商品出荷の計画を立て、できるだけ自分の売上高が引き続き成長することを保証する。

 

03.2022年に、産業用センサーの売上高が制限されると予想される

 

Q1、産業用センサー市場は受注数量と売上高が共に高い成長率を維持したものの、各メーカーはQ2と通年の市場見通しについて、昨年の高い成長率を続けることはできないと悲観的な見方を示した:

      Q1の受注は今後の需要を「前借り」しており、年初の売上高指標を達成するのは難しかった。既に一部のメーカーは2022年の売上高指標の引き下げを検討すると表明した。

     中国全国の多く地域で新型コロナが流行しているため、出荷に大きな影響を与えた。特に上海に工場や倉庫がある企業に与えた影響が大きく、5月初めまで流行は終わらず、大部分の企業はQ2の成長率が鈍化すると予測する。

     2022年のチップ不足は依然として厳しく、製品出荷に影響を与え、各メーカーの売上高成長に一定の影響を与える見込み。

     現在の国際情勢は不安定で、一部のメーカーにも影響を与える。例えば、ロシア・ウクライナ紛争は某ドイツブランドに比較的大きな影響を与え、その原材料サプライヤーはウクライナ周辺国、例えばポーランド、クロアチアなどに分布し、同時にポーランドに工場を有しており、ロシア・ウクライナの情勢は不安定であり、企業の供給に潜在的な危機をもたらした。

以上の状況と市場の詳細な観察に基づき、MIR睿工業は2022年産業用センサー市場の成長率予測を調整し、2022年の市場成長は2021年に比べて大幅に鈍化するが、市場全体は依然として中速成長を維持すると予測する。

2022年産業用センサー市場の規模予測

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(データ出所:MIR DATABANK

 

*MIR睿工業は『2022年中国産業用センサー市場標準報告書』を作成し、製品側とメーカー側から2021年中国産業用センサー市場の状况と今後傾向を分析し、お問い合わせを歓迎し、本報告書を購入する意向があったら文末のMIR DATABANK顧客サービスセンターのスタッフにご連絡ください。以下は、参照用に報告書目次の内容を抽出したものである:


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