業界観測

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2021年第3四半期中国自動化市場の振り返りおよび今後の見通し

2021年第3四半期の自動化全体市場の成長率は第2四半期の減速傾向が続き、リチウム電池、産業用ロボット、電子と半導体などの新興業界の需要は高成長を維持したが、チップの品薄、原材料の値上げ、電力制限、生産制限などの不利な要素も存在した。

 

MIR DATABANKのデータによると、2021年第3四半期の中国自動化全体の市場規模は730.3億元で、前年同期比8.3%増加した。ここでは、2021年第3四半期に於ける自動化市場を振り返り、2021年の自動化市場の成長率を予測する。

 

1.   3四半期の自動化市場全体の成長率は第2四半期の減速傾向に続き、通年では前年同期比15.1%の成長を予測

2021年第3四半期の自動化全体の市場規模は730.3億元で、前年同期比8.3%の増加となり、年間自動化全体の市場規模は2880元で、前年同期比15.1%の増加となる見込みである。

2021年第3四半期の自動化市場全体が生産側から見れば、チップの品薄と原材料の値上げにより、ほとんどのサプライヤーが正常に商品を納品できなくなって、出荷が制限された;需要側から見れば、リチウム電池、産業用ロボット、電子と半導体などの新興業界の需要は引き続き急速な成長を維持している;原材料の値上げ、電力制限、生産制限などにより、第3四半期の化学工業、石油化学、電力などのプロジェクト型業界は大きなプレッシャーにさらされている。

4四半期の外国貿易輸出による新規受注が緩和傾向にあり、チップ不足の影響による納品難が深刻化する見通しだ。地元の上位メーカーは2020年末にチップを事前に準備していたが、自動化製品の出荷が続いたことで、チップ不足の影響を受け始めており、第4四半期はさらに深刻になる。

 

20192021年の各四半期に於ける中国自動化全体の市場規模と予測

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(データソース:MIR DATABANK)

 

2.   3四半期のOEM型自動化市場は大幅なプラス成長を維持、通年では前年同期比23.6%の成長を予測

2021年第3四半期のOEM型自動化市場規模は281.8億元で、前年同期比21.2%の増加となり、通年のOEM型自動化市場規模は1164億元で、前年同期比23.6%の増加となる見込みである。

2021年第3四半期にOEM型業界は高速成長を維持し、その中でリチウム電池、産業用ロボット、電子と半導体、紡績、包装などの業界は比較的に速く成長した。特にリチウム電池は、新エネ車産業への政策と投資によって推進されており、成長率は42%に達し、他の業界をリードしている。

 

2019-2021年各四半期に於ける中国自動化OEM型の市場規模と予測

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(データソース:MIR DATABANK)

 

新興産業:

l  電池: 車両の電動化の傾向が高まっており、新エネ車市場は急速に拡大し続ける。20219月に新エネ車販売量は35.7万台に達し、前期比148.4%増加した;1-9月に新エネ車の販売量は215.7万台に達し、前期比185.3%増加した。リチウム電池市場の需要は急速に増加し、生産ピークを迎えている。

l  電子と半導体:2021年、チップ不足、ウエハー・ファウンドリの生産能力不足などにより、半導体業界の需要は増加傾向にあり、ローカリゼーションプロセスはさらに加速している。中国の半導体産業は、「第145カ年計画」の強力な支援に伴い、2021年に本格的な成長期を迎える見込みである。また、自動車の「知能化+ネットワーク化」の発展に伴い、自動車を製造する設備の成長も比較的に速い。

伝統的な産業:

l  工作機械:20218月、国資委(中国の国務院国有資産監督管理委員会)の党委員会は会議を開き、産業用工作機械、ハイエンドチップ、新材料、新エネ車などに対してコア技術を強化することを提出した。今回の会議では、初めて産業用工作機械1位にランクインし、人々の注目を集める。工作機械業界の需要は引き続き旺盛であり、同時に海外の疫病は外資系メーカーの生産能力に影響を与え、輸入代替プロセスを更に触媒している。

l  紡績:紡績、プラスチック、包装などの業界は疫病の影響でサプライチェーンが中国に移転し、業績成長の短期的な好景気をもたらした。海外の疫病の好転に伴い、輸出が減少し、業績の成長率は徐々に鈍化すると見通しだ。

l  建設機械: 3四半期は建設機械販売のオフシーズンであり、大口原材料価格の上昇などにより、建設機械業界の需要は大幅に減少した。202179月には、国内ショベル業界の販売量は5.55万台で、前期比16%減少した。クレーン業界の販売量は1971台で、前期比51%減少した。

 

2020Q3/2021Q3自動化製品の前年比増加-OEM別業界

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(データソース:MIR DATABANK)

 

3.   3四半期プロジェクト型の自動化市場は小幅なプラス成長を示し、前年同期比の伸び率は10%に達する見込み

 

2021年第3四半期のプロジェクト型自動化の市場規模は448.5億元で、前年同期比1.5%の増加となり、年間プロジェクト型自動化の市場規模は1716億元で、前年同期比10%の増加となる見込みである。

2021年第3四半期のプロジェクト型市場は、大口原材料の値上げとエネルギー総消費量の抑制と消費効率の改善というデュアルコントロールの影響で、全体の成長率はOEM型市場より低く、第3四半期のプロジェクト型市場では冶金業界の成長が速く、41%に達した。デュアルコントロールの影響を受けており、冶金、化学工業、石油化学などの高エネルギー消費業界の企業は徐々に実質的な措置を講じて省エネ・消費削減の投資と改革に力を入れて、自動化設備とシステムは省エネ・排出削減、高効率な運営を実現することができ、中長期で利益を得る。

 

 

2019-2021各四半期の中国自動化プロジェクト型市場規模と予測

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(データソース:MIR DATABANK)

 

l  冶金:経済回復と海外からの注文回復を背景に、製造業の鉄鋼に対する需要は大幅に増加しており、これが鉄鋼価格の継続的な上昇を後押ししている; 中国の非鉄金属生産は回復傾向を続けており、非鉄金属の価格は高水準にあり、一定規模以上非鉄金属企業(年売上高2000万元以上の企業)は利益の倍増を実現し、前3四半期に10種類の非鉄金属の生産量は4842.1トンで、前年同期比7.9%の増加となっている。

l  化学業界:3四半期に化学業界の圧力は比較的大きく、原料の価格は絶えず上昇し、それにデュアルコントロールの影響を受けており、江蘇、広東、浙江(化学工業分野の重点省)などは数千社の企業に対して生産停止、停電などの措置をとり、第3四半期化工業界の自動化製品に対する需要は前半期に比べ明らかに緩やかである。

2020Q3/2021Q3自動化製品の前年比増加-プロジェクト別業界

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(データソース:MIR DATABANK

 

4.   2021年第3四半期に主要自動化製品全体の成長率が鈍化した為、第4四半期には大きな成長圧力に直面

チップの不足、原材料の値上げ、電力制限と生産制限及び疫病発生などの不確定要素の影響で、上半期に比べて第3四半期の各製品の成長率は鈍化しており、以上の要因は依然として第4四半期に影響を及ぼす。

2021年下半期に主要自動化製品市場の成長率は低下したが、上半期の業績を総合すると、各製品の市場は急速な成長を実現し、サーボ、小型PLC分野に於ける国産の代替は加速する傾向にある。2021年にはHMIが前年同期比20.7%増、大・中型PLCが前年同期比13.3%増、小型PLCが前年同期比19.7%増、低圧インバーターが前年同期比17%増、汎用サーボが前年同期比32%増となる見通し。

20202021年自動化製品の市場規模と予測

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(データソース:MIR DATABANK

 

5.マクロ経済の更なる弱体化:経済回復は引き続き鈍化し、経済成長の原動力は疫病発生以来最低の水準に落ち込んだ

5.1コストと需要の低迷により、工業付加価値の伸び率は引き続き低下した

利益の減少と需要の低迷が工業生産を制限し続け、工業付加価値の伸び率が持続的に低下した。9月、全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)は前年同期比3.1%上昇し、8月を2.2%下回り、工業付加価値の前年同期比の伸び率は7ヶ月連続で鈍化した。

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(データソース:国家統計局)

 

5.2 PMIは下落傾向が続いており、工業回復基調は引き続き減速する可能性がある

短期的に生産は引き続き下押し圧力に直面し、10月の中国製造業購買担当者指数(PMI)49.2%で、栄枯線を下回り、前月を0.4%下回った。PMI7カ月連続で低下し、20203月以来の低水準となった。生産指数と新規受注指数はそれぞれ48.4%48.8%で、前月より1.1%0.5%低下し、製造業の生産活動と市場需要が全体的に鈍化したことを反映している。

8月、国家発展改革委員会は「2021年上半期各地区のエネルギー消費量二重制御目標達成状況バロメーター」を発表し、エネルギー消費量と強度二重制御情勢について分析・早期警戒を行った。そのうち、多くの工業大省は一級と二級警報にあり、「二重制御」の強化を背景に、生産回復をさらに制約するか、後続の工業回復基調は引き続き減速する可能性があると見通しだ。

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(データソース:国家統計局)

 

5.3疫病が海外生産能力への影響により、外需は短期間で回復し、内需は依然として複数の抵抗に直面

厳格な監督管理の下でインフラ建設と不動産投資の景気回復が持続的に鈍化し、製造業への投資を改善することが難しく、投資の伸び率が低下した。1-9月の固定資産投資は前年同期比7.3%増、2年間で平均3.8%増、1-8月を1.6%下回った。

9月、インフラ建設の投資は前年同期比4.5%低下し、8月より2.1%上昇し、1-9月のインフラ建設の投資は前年同期比1.5%増、1-8月を1.1%下回った。

新型コロナは世界の供給に影響を与え、中国の輸出は短期的に好転した。9月の輸出総額は3057.4億ドルで、前年同期比28.1%増、前月比3.9%増となった。