業界観測

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充電スタンド業界はチャンスを迎え、電源モジュールが急成長

近年、新エネルギー自動車業界は急速に発展し、最も関連する基礎付帯施設の充電スタンドに広い発展空間をもたらしている。

20218月、新エネルギー車の販売台数は初めて30万台を超え、1-8月の新エネルギー車の市場浸透率も11%近くの水準に上昇し、新エネルギー車の成長は「全開」と形容することができる。

しかし、現在、中国の充電スタンドは不足しており、新エネルギー自動車産業の発展を抑制する最大の障害の一つになっている。工信部が発表した「新エネルギー自動車産業発展計画(2021-2035)」の意見募集稿によると、2030年までに中国の新エネルギー自動車保有台数は6420万台に達する見込み。20218月まで、中国の充電スタンドの保有量は210.5万台に達し、自動車・充電スタンド比1:1の建設目標に基づいて計算すると、今後10年、中国の充電スタンドの建設には約6200万の不足が存在し、これは兆元レベルの充電スタンドの市場機会をもたらす。

2017-2025年新エネルギー自動車販売状況及び予測


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(データ出所:中国自動車工業協会、MIR 睿工業整理)

 

2015-2020年新エネルギー自動車と充電スタンドの保有量

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(データ出所:公開資料によるMIR 睿工業の整理)

充電スタンドにとって、設備の中核は電源モジュールであり、その主な機能は電気システム内の交流を電池に充電できる直流に変換することである。充電スタンドの建設コスト構造を見ると、電源モジュールの割合は約50%に達している。

120KW DC充電スタンドコストの割合(%

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(データ出所:公開資料によるMIR 睿工業の整理)

 

 

初期資本の投入と国家政策の支援は充電スタンド業界の発展を推進し、電源モジュールも成長の機会を迎えた

中国では2015年から、国の多くの部・委員会と地方政府が相次いで充電スタンドの建設・発展を奨励する政策を打ち出し、充電インフラ建設計画と補助金政策が完備していた。

中国の「第14次五ヵ年計画」は、「都市の品質を全面的に向上させ、都市の更新を加速させ、旧い住宅、旧い工場区域、旧い街区と都市中村等のストック区域の機能を改造し、旧いビルの改造を推進し、積極的に新駐車場、充電スタンドを増築する」と提起した。「第13次五ヵ年計画」が終わり、「第14次五ヵ年計画」が開始された際、複数の省・都市は充電スタンド産業を省「第14次五ヵ年計画」重点発展産業の一つに入れ、国家の呼びかけに積極的に応答し、20213月末まで、全国合計30省が充電関連施設関連政策の計画を立ち上げた。

中国に於ける「第14次五ヵ年計画」期間中一部の省・都市の電気自動車充電スタンド発展計画


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(情報出所:中国各省市公式サイト、MIR睿工業整理)

強力な政策ガイドにより、2015年にも大量の資本が流入し始めた。企業は融資を受けるために狂ったように拡張しているが、運営がうまくいかないため、多くの企業は損益分岐線で絶えずもがいており、同時に利益モデルがまだ形成されていないため、その後数年で融資額が一直線に減少していた。2019年の融資件数は2016年より約50%減少し、投資は理性を取り戻しつつある。2020年以降、「新型インフラ整備」は業界の発展を促進させ、充電スタンド業界の技術、運営等の方面の発展も次第に成熟しており、加えて「第14次五カ年計画」の提出は充電スタンド業界の発展をサポートし、2021年に充電スタンド業界には再び「投資ブーム」が現れる。

充電スタンド業界に於ける資本の発展状況

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(情報出所:公開資料によるMIR 睿工業の整理)

20218月現在、中国電気自動車充電インフラ推進連盟内の会員単位は、共有充電スタンド合計98.5万台を報告し、そのうち、DC充電スタンド39.9万台、AC充電スタンド58.6万台、DCAC一体型充電スタンド414台がある。20218月には20217月より66.4%増の3.44万台に達した。

充電スタンド市場は政策、資本に牽引され、ここ2年で急速に成長しており、市場規模は絶えず拡大し、電源モジュールの市場規模も充電スタンド業界の発展に伴って絶えず向上しており、両者が互いに補い合って成長していく。

DC充電スタンド、電源モジュールの市場規模


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(データ出所: MIR 睿工業の試算と予測、13%の付加価値税を含む)

 

充電スタンドの発展傾向は、電源モジュールの発展傾向を決定する

技術の絶え間ない進歩に伴い、充電スタンドと電源モジュールに対する技術要求も益々高くなり、各メーカーに挑戦をもたらしたが、技術の革新は必ず業界により良い発展をもたらすことができる。

    充電時間の短縮が要求され、それに伴って充電電力が向上する

人々は新エネルギー自動車の航続距離に対する要求が増加し、充電時間の短縮が要求されることに伴い、充電スタンドの充電電力を高める必要がある。現在DCスタンドの出力電力は最高600KWに達し、DC充電スタンドの電力の持続した上昇は必ず電源モジュールの電力の上昇を促進する。現在、市場の主流電源モジュールの出力電力は20KW30KWであり、多くのメーカーは既に40KWのモジュールを発売し、一部のメーカーは既に50KW60KWの大電力モジュールの研究開発に力を入れている。

優優緑能に於ける電源モジュールの出力電力発展


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(データ出所:優優緑能の公式サイト、MIR 睿工業整理)

    電源モジュールの電力が増加するにつれて、電力密度が引き続き向上している

30KWモジュールの分野で各メーカーが現在達成している最高電力密度を見ると、Huaweiの電源モジュールの電力密度は58.6W/in3と遥かにリードしている。現在、優優緑能の20/30KW電源モジュールの電力密度は45W/in3に達し、2017年の32.8W/in315kW)に比べて37%向上した。

電源モジュールの電力密度の向上プロセス


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(データ出所:公開資料によるMIR 睿工業の整理)

    電力デバイスの進化、Si-MOSFETの代わりにSiC-MOSFETを使用

Si−MOSFETIGBTに比べてスイッチング損失が小さい為、高周波スイッチングを必要とする電源モジュールの主流アプリケーションとなり、電源モジュールの主な電力デバイスとなる。然し、900V以上のSi−MOSFETは電気抵抗損失が大きく、SiC−MOSFETは損失が小さくてチップが小さい。今後2年間で電源モジュールの主流出力電圧は750Vから900V1000Vとそれ以上に上昇し、SiSiCに取って代わられると予想される。

充電スタンドの電源モジュール電力デバイスアプリケーションの発展プロセス


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(データ出所:公開資料によるMIR 睿工業の整理)

技術は成熟し、市場規模は拡大し、電源モジュールの価格が低下し続けている

充電スタンド技術の継続した成熟に伴い、市場の需要規模は拡大し、近年中国充電スタンドの市場価格全体は下落傾向を呈し、公共充電スタンドの平均価格は2016年の6.15万元/台から2020年の5.11万元/台に低下した。それに伴い、DC充電スタンド電源モジュールの価格も明らかに低下し、電源モジュールの価格が低下した原因もSiC電力デバイスのアプリケーションに影響され、SiC電力デバイスを使用すると、半導体デバイスの使用台数が減少し、電源モジュールの出力電力が向上し、モジュールのワット当たりの価格が低下する。

2016-2020年中国充電スタンドの市場価格動向


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(データ出所:公開資料によるMIR 睿工業の整理)

2017-2030年新規増加DC充電スタンド電源モジュール購入価格の変化と予測(元/W


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(データ出所:充電スタンド連盟、MIR睿工業の整理)

 

電源モジュールの各メーカーの売上高はさらに向上する見通し

充電スタンド業界と同時に発展した電源モジュールメーカーも、充電スタンド企業と同様に多いものから少ないものへ、少ないものから多いものへと競争した過程を経ており、2015年末には電源モジュールのメーカー数は一時40社近くに達したが、2019年には市場で活躍し、市場シェアを持つメーカーは少なくなった。現在、電源モジュール市場の発展は回復し、多くの企業の発展は軌道に乗っている。

現在は充電スタンドを中核事業としており、また、電源モジュール製品を独自に開発したメーカーには特鋭徳、盛弘、科華等があり、電源モジュールを中核事業としており、充電スタンド設備を独自に生産するメーカーには中恒電気、動力源等があり、電源モジュールのみを生産するメーカーには英飛源、優優緑能、HUAWEI、永聯科技等があり、各メーカーの業務経営はいずれも順調に進行している。

一部の電源モジュール・メーカーの競争優位性分析


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(情報出所:公開資料によるMIR睿工業の整理)

電源モジュールの今後市場発展は、新エネルギー自動車と充電スタンド業界の需要と密接な関係があり、新エネルギー自動車の強力な普及と中国の「新型インフラ整備」の飛躍的発展に伴い、既に市場で地位を占めている電源モジュールの各メーカーの業績は更に向上する見込み。