業界観測

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中国自動化市場の棚卸し|2020 注目に値する出来事top10

2020年、突如流行した新型コロナウイルス疫病は、全世界の自動化業界に前例のない課題をもたらした。


感染症の下で、中国の自動化メーカーは市場の変化に積極的に対応し、危機の中で迅速に新たな商機を探し、市場成長率は世界で唯一の「プラス成長」を実現した。MIR睿工業は長期的に中国自動化市場を研究し、豊富な市場分析経験をもとに、2020年の中国自動化業界の十大事件を選定し、中国自動化市場の発展元年を振り返る。(重要度に応じて順位を決める)

 

10位、開放政策、外資証券会社が中国資本市場への参入を加速し、自動化生産の成長を促進

中国証券監督委員会の関連規定により、202011日から、先物会社の外資株式比率制限を廃止し、条件を満たす海外投資家は先物会社の株式比率を100%まで保有することができるようになった。202041日から、証券会社、ファンド管理会社の外資資本比率制限が全国的に撤廃された。

この背景の下で、JPモルガン・チェース(JPMorgan)、野村、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)などの外資系証券会社は速やかに対応し、公募申請を提出し、合弁会社の持ち株比率を増やし、中国子会社を設立するなど、中国資本市場への投資と布石を强化した。外資系証券会社は中国への進出を加速し、国内の金融機関が自らの競争力を向上させることを促進し、中国の資本市場を好調にし、自動化メーカーが資本市場から力を借りることをより有利にし、生産の発展をサポートする。

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*クリックすると大きな画像になる         (情報出所:MIR 公開資料によりMIRが整理する)

 

9位、美的集団は合康新能を買収し、継続して自動化を推進

美的集団は、20203月に、協議の方式を通して合康新能23.73%の株式を取得し、企業の支配株主になり、買収価格は7.4億元であると発表した。北京合康新能科技株式有限公司は2003年に設立され、主要事業は高、中、低圧及び防爆インバーターを含む全ての種類のインバーター製品、サーボ製品、新エネルギー自動車と関連製品の研究開発、生産と営業である。

近年、美的集団は継続的に自動化産業チェーンを展開しており、安徽埃夫特の株主になり、KUKAを買収し、イスラエルのモーションコントローラー会社であるServotronix(高創)の買収から合康新能の買収まで、全ては美的集団が工業自動化市場のもたらす新しい発展機会に注目していることを反映した。近年、合康新能は中国の高圧インバーター業界でトップの市場シェアを維持していた。合康新能の高圧・低圧インバーター製品は、美的集団の大型セントラル空調の周波数変換プロセスを加速し、美的集団に於ける空調の競争優位を高めることに役立った。美的集団の支援により、合康新能の将来は、同社の業績に新たなブレークスルーをもたらすと信じている。

2019年中国に於ける中圧・高圧のインバーターサプライヤーの市場シェア

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(データ出所:MIR Databank2020第一四半期~第三四半期による予測)

 

8位、2020Inovanceの自動化業績は予想を遥かに上回り、力強い成長を遂げた

20201-9月に、Inovanceは前年比65.00増の約80.98億元の売上を達成し、前年比129.15増の約16.77億元の営業利益を実現した。汎用自動化事業(汎用インバーター (高圧・低圧インバーター)、サーボ、電気油圧サーボ、PLCHMI、センサー、産業用インターネット等を含む)は、前年比63.61増の約33.96億元の売上を達成した。

主な原因:

l  新型コロナの影響により、マスク製造機のサーボ製品に対する需要が高まっている。マスク製造機の需要に応じる為、Inovanceはサーボ生産ラインを急速に調整し、他の生産ラインは生産中止または生産能力を削減した。

l  新型コロナが流行している間、外資系ブランドは新型コロナの影響により、生産と納品が困難となった。Inovanceはサプライチェーンとサービスの優位性により、自動化製品の輸入品代替を加速させた。

l  良好な製品供給を保障する為、サーボ生産ラインを増設して生産能力を拡大すると同時に、工場の自動化改造を行った。二つの新しい生産工場が建設され、2020年下半期に建設が開始された。新しい生産ラインに5億元を投資し、生産能力計画:サーボ135万台、低圧インバーター115万台、中圧・高圧インバーター2000セット。

l  輸入部品の国産化、チップを含めたサーボドライブ部品の国産化、サーボモータの100%国産化を進める。

l  深堀する業界を選定し、選定した業界は2020年まで急成長しており、その中で電子、リチウム電池、太陽光発電が代表格である。

2017-2020Inovance汎用自動化事業部の売上高(M RMB

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(情報出所:公開資料によりMIRが整理する。汎用自動化事業部の売上高の定義:総売上高は産業用ロボット、エレベーター&貝思特、新エネルギー自動車、軌道交通事業部の売上高を除く)

 

7位、2020年にCNCの売れ行きが好調

MIR DATABANKのデータによると、2020年のCNC市場規模は31.71万台に達し、前年同期比25%の成長率で大幅に増加した。

主な原因:

l  中国の新型インフラ建設の整備は建設機械と5Gの発展を促進し、建設機械と5G機械加工の需要はCNC市場の急速な発展を牽引した。

l  2020年、自動車業界に対して、各地で様々な形態の販促活動を相次いで打ち出し、例えばマイクロバス数量の増加、新エネルギー車の購入補助金、自動車の買い替え補助金、新エネルギー車の下郷行動(下郷行動とは農村部での自動車の購入に対する補助金を支給する措置である)等があり、自動車市場の需要が増加し、下半期の自動車業界は回復の兆しを見せ始め、自動車部品の需要が増加した。

l  新型コロナの影響で医療機器への需要が増え、医療機器に使用した小さな部品加工業界の発展が良好。

l  2020年、中国が打ち出した政策に恵まれ、新エネルギー業界の風力発電のパフォーマンスは比較的良好。

2015-2021中国CNC全体的な市場規模及び予測

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(データ出所:MIR Databank

 

6位、マスクからもたらされた莫大な経済的利益は主に国産メーカーが獲得した

2020年上半期、中国本土の自動化メーカーは市場の変化に迅速に対応し、マスクがもたらした莫大な経済的利益は主に国産メーカーが獲得した。マスク製造機の需要は積極的にInovance、無錫信捷、HCFA等の国産メーカーのPLC、サーボ等の自動化製品の売上高の伸長を牽引した。

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*クリックすると大きな画像になる                 (データ出所:MIR Databank

 

5位、2020年に自動化に於けるEU業界の業績は分散

2020年の自動化EU市場全体の成長率は前年同期比マイナスに転じたが、その中で市政及び公共施設、新エネルギー自動車、冶金業界はプラスの成長を遂げた。

l  経済成長を牽引する為に、インフラ建設の投資を加速し、市政及び公共施設業界の成長率を向上させる。

l  新エネルギー車は自動車業界の成長回復を牽引する重要な力になり、20201月から11月迄の中国新エネルギー車の販売台数は110.9万台になり、前年同期比3.9%増加した。

l  冶金は具体的に鉄冶金と非鉄冶金に分けられている。2020年1月から11月迄中国鋼材の生産量は累計で120203万トンになり、前年同期比7.0%増加した。20201月から11月迄中国10種非鉄金属の生産量は累計で5632万トンになり、前年同期比4.6%増加した。

2019-2020各エンドユーザー業界自動化製品成長状況

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(データ出所:MIR Databank 自動化製品はPLCHMIACサーボ、低圧インバーター、CNCを含む)

 

4位、自動化設備製造に於いて、3C、物流、電子半導体、リチウム電池業界は高速成長

2020年自動化設備製造業界の成長率は前年同期比プラス成長に転じて16%になり、自動化全体市場の成長を牽引する重要な力となった。主要な原因は新興設備製造業界に於いて、3C、物流、電子半導体、リチウム電池業界は新型コロナウイルスから受けた影響があまり大きくなかった為、通年では高速成長したからである。伝統的な設備製造業界に於ける建設機械、HVAC、衛生用紙機械、製薬機械等業界はインフラ建設投資が加速し、防疫物資の需要に牽引された為、成長率は前年同期比増加した。

2017-2021中国自動化市場規模及び成長傾向

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(データ出所:MIR Databank 自動化製品はPLCHMIACサーボ、低圧インバーター、CNCを含む)

 

2019-2020各設備製造業界(一部)自動化製品成長状況

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(データ出所:MIR Databank 自動化製品はPLCHMIACサーボ、低圧インバーター、CNCを含む)

 

3位、「科創板」から多くの自動化メーカーは利益を享受した

2018年「科創板」は上海証券取引所で創設され、2019年に正式に開設された。「科創板」は主に国家戦略に合い、コア技術をブレークスルーし、それに市場の認知度が高いハイテク革新企業に限定し、重点的に次世代情報技術、ハイエンド装備、新材料、新エネルギー、省エネと環境保護及び生物医学等ハイテク技術産業と戦略的新興業界をサポートする。

「科創板」から多くの自動化メーカーは大きな利益を享受し、2020年は合計で自動化とロボット企業の6社が上場した。今後の数年、自動化業界はより多くの資本を引き付け、国内コア技術をブレークスルー重任を負うと見込まれている。

2020年中国自動化メーカー「科創板」上場状況

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*クリックすると大きな画像になる                (情報出所:MIR 公開資料によりMIRが整理する)

 

 

2位、2020年の中国国産vs外資系自動車メーカーの市場構造は大きく変化した

MIR DATABANKのデータによると、2020年の中国の低圧インバーター(エンジニアリング低圧インバーターを除く)市場では、Inovance 18.8%でランキング1位になった。これは中国の主要な自動化製品が初めて国産メーカーのシェア1位を獲得したということであり、画期的な出来事である。2020年には中国のPLCACサーボ、HMIなどの自動化製品ライン、自動化メーカーの市場シェアもさらに向上する。

新型コロナウイルス感染症の拡大期に於いて、外資系メーカーの部品調達は困難で、品薄状態が発生した。それに対して、中国国産メーカーのサプライチェーンは比較的安定しており、部品の供給はタイムリーで、これはInovance、信捷電気などの国産メーカーが新規顧客を開拓し、新規業界に参入するために重要な機会を提供した。2020年は挑戦的な年であるだけでなく、中国自動化メーカーの発展元年でもある。新型コロナにより、インテリジェントなアップグレードが多くの企業の重要な計画と戦略的な方向になり、中国の自動化業界もさらに発展を加速する。

 

2020年中国における低圧インバーター(エンジニアリング低圧インバーターを除く)のサプライヤー市場シェア

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(データの出所:MIR Databankは、2020年最初の3四半期の見通しによると)

 

1位、2020年中国は自動化市場が世界の主要経済国でプラス成長を遂げている唯一の国である。

中国は2020年に世界で唯一経済成長を実現した主要経済体となり、中国の自動化市場は世界で唯一成長を実現した。2021年を振り返ると、経済活動を最も早期に再開した経済国である中国は世界経済の回復を牽引する上で重要な役割を果たした。中国の自動化市場の成長率は今後も引き続き向上する見通しである。

MIR DATABANKのデータによると、2020年中国自動化市場の伸びは前年同期比マイナスからプラスに転じ、市場規模は628億元に達し、前年同期比8%増となった。その中で、流行の影響により、第1四半期には自動化業界の市場規模が大幅な減少が見られた。第3四半期と第4四半期に機器製造業界の新興産業は急成長を続けており、伝統的な業界の需要が明らかに回復したことに加え、エンドユーザー業界の自動化設備の調達も徐々に回復し、自動化市場は引き続き成長傾向を維持している。

2018-2020四半期における中国自動化市場の全体規模

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(データの出所:MIR Databank、自動化製品には、PLCHMIACサーボ、低圧インバーター、CNCが含まれる。