業界観測

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2020年第3四半期の中国自動化市場の振り返りと未来予測

​MIR DATABANKのデータによると、2020年第3四半期には自動化市場全体が僅かにプラス成長を維持し、OEM市場はプロジェクト型市場より優れたパフォーマンスを出している。

経済の回復に伴い、2020年には自動化市場全体の成長率が前年比マイナスからプラスに転じると予測される。以上について深く議論する為、MIR睿工業は2020年第3四半期の自動化市場を振り返って、2020年自動化市場の成長率を予測する

 

自動化市場の分析と予測

1.   中国の自動化全体市場は2020年の第3四半期で小幅なプラス成長を維持し、通年の市場規模の成長率は前年比マイナスからプラスに転じると予想される

l  3四半期、OEM新興業界は引き続き急成長を続け、伝統業界も明らかに回復している。プロジェクト型市場に於ける自動化装置の導入も徐々に回復し、これは自動化市場全体の成長に対して重要なけん引役を果たした

l  3四半期、自動化市場全体の累計は前年同期比横ばいであり、景気回復の継続に伴い、2020年通年の自動化市場は前年比で2%成長すると予測

2019-2020中国の全体市場規模と予測ー四半期別

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(データ出所:MIR Databank

*自動化市場についての説明

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2.   2020年第3四半期、OEM市場は前四半期と同様の傾向が継続しており、OEM市場の前年比成長率は8%に達すると予想される

l  2四半期、OEM市場は国内外の疫病で全世界の生産活動及び物流システムが影響を受けた為、多くのコア部品が在庫切れになり、代理店が狂乱的な買いだめが発生した。また、流行防止装置の輸出などにより、前年同期比の伸び率が上昇した。第3四半期、市場は徐々に回復しており、前月比では僅かな減速はあるものの、依然として比較的良好な成長傾向を維持している。第4四半期も新興業界は急速な発展を続け、伝統業界ハ回復を続け、OEM市場は依然として良好な成長率を維持すると予想される

2019-2020中国四半期ごとのOEM市場規模及び予測

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(データ出所:MIR Databank)

 

l   電子半導体、リチウム電池、物流、3Cなどの新興業界は第3四半期に急成長を続け、自動化OEM市場を大きく牽引した。電子半導体とリチウム電池業界は国家政策の恩恵を受け、発展は比較的に楽観的である。8月に国家はすでに半導体業界の税金減免に関して明確な政策を発布した。7月末に新エネルギー自動車の「下郷政策」(農村部の家電普及率上昇を促進するために、指定された機種について13%の補助金を出すという政策である)が再び動き出し、新エネルギー自動車市場の急速な成長を促進した。第3四半期の新エネルギー自動車の販売台数は87.2万台に達し、前年同期比20.8%の増加し、リチウム電池業界の成長率を牽引した。3C業界は5Gスマホの牽引により、産業チェーン3C設備の交代を促進し、自動化製品に対する需要を促進した。

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(データ出所:MIR Databank)

l   第三四半期、伝統的業界の回復が続いた。そのうち、紡織、ゴム、プラスチック成型業界の市場規模の成長率は前年同期よりプラスに転じ、大きく回復した。国内の消費需要の改善と輸出受注の増加が主な原因である。

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(データ出所:MIR Databank)

l   MIR睿工業は現在の市場状況に基づき、2020年通年のOEM市場規模は697億元、前年同期比8%に達すると予測する。華為、アップルなどのメーカーの5Gスマホの売れ行きが好調であり、3C業界の設備交代需要を引き続き高めるため、新興業界のうち、3Cと産業用ロボットの前年同期比がプラスに転じる。新型コロナウイルスによる着工困難が多くの企業に自動化のアップグレード改造を加速させ、人の代わりに機械を使用することを促進する。

l   伝統的な業界のうち、建設機械の成長率は最大になる。経済成長を促進するために、インフラ投資が加速している。中国は1-9月に掘削機を23.65万台販売し、前年同期比32%増となり、昨年通年の販売量よりも高い。工作機械業界はマスク機関連の工作機械、3C電子関連のレーザー加工機、基地局の精密部品生産加工に使用する工作機械の需要が比較的に楽観的であるため、2020年の前年同期比がプラスに転じる。2020年、一部の伝統的な業界は新型コロナウイルスから利益を受け、市場成長率の前年同期比がプラスに転じる。例えば、製薬機械、トイレットペーパー・消毒ティッシュ関連の衛生用紙機械、防疫用品関連の包装機械等。

2019-2020OEM業界自動化製品の成長状況

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(データ出所:MIR Databank)

 

3.   中国自動化プロジェクト型市場は2020Q3の成長率がマイナスからプラスに転じたが、Q1Q2の悪影響により、2020通年の自動化プロジェクト市場はマイナス成長になると予測

l  第三四半期から、政府の経済を牽引する政策や上半期に着工し始めるインフラプロジェクトにより、自動化製品に対する調達が徐々に回復し、第四四半期のプロジェクト型市場は小幅なプラス成長が続くと予測。然し、第一四半期と第二四半期の悪影響により、2020通年のプロジェクト型市場の成長率は前年比5%下落する見込みである

2019-2020四半期別の中国プロジェクト型市場規模及び予測

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(データ出所:MIR Databank

2020年上半期に一部の軌道交通業界で着工したプロジェクトのリスト

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データ出所:MIR 睿工業の公開資料による整理

 

l  第三四半期に、プロジェクト型市場の成長率は新型コロナ発生した以来で前年比初めてプラス成長に転じ、その中で冶金と市政業界が成長率の主要な原動力であり、電力、自動車、造紙等の業界は依然として低迷し、マイナス成長状態を示した

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(データ出所:MIR Databank)

l  2020年に、プロジェクト型市場の業界セグメントはいずれもある程度の下落が見込まれる。その中で、不動産業界の投資成長率が引き続き鈍化し、冶金業界での鋼鉄に影響を及ぼした為、冶金業界の成長率は2019年より低くなった;1-9月に、採鉱業の投資は前年比9.5%減少し、2020年採鉱業に適用される自動化製品市場の成長率は前年比マイナスに転じる可能性が大きい;海外の新型コロナの影響により、原油に対する需要が下がり、価格も大幅に下落し、化工製品市場の成長率を大幅に下落させた

2019-2020各プロジェクト型業界における自動化製品の成長状況

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(データ出所:MIR Databank)

 

外部環境分析

1.   インフラ建設が経済成長を牽引

l  2020年、中国経済の成長方式が変わり、投資方向は不動産とインフラ建設から伝統的なインフラ建設と新型インフラ建設に変わり、製造業の投資は依然として低いレベルに留まる

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情報出所:MIR 睿工業は公開資料による整理

2.   自動化市場における5Gの牽引力は依然として強い

l  9月末までに中国はマクロ基地局を合計69万局建設し、、現在累計端末接続数は1.6億戸に達している。今年に約50万局の5Gマクロ基地局が新規建設され、本年度の5G基地局の建設目標は前倒しで完了し、2021年には170万局以上の5Gマクロ基地局が建設される見通しだ;5Gネットワークの組み合わせはマクロ基地局から小型基地局までの順番によって行い、しかし両者の建設間隔は長くなく、5Gの小型基地局は2021-2022年に集中に建設完了される見込みで、数は少なくとも100万局以上を整備する

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情報出所:MIR Databank)

l  5Gネットワーク建設の加速に伴い、5Gスマホの浸透率も急速に上昇し、5Gスマホ産業チェーンの無線周波数部分とスマホの背面材質の変化は、自動化設備メーカーに新しい業績の成長ポイントをもたらした

 

3.   マクロ経済の成長が直面している圧力を客観的に見る

l  最初の三四半期は社会消費財小売総額が前年同期比7.2%減となり、2020年通年消費のマイナス成長が現実になる可能性が大きい。輸出には依然として不確実性があり、2020年に新型コロナウイルスで世界経済が不況に陥ており、中国の他に、世界に於ける主要な地域と国家は経済が通年一般的に景気後退の状態に陥る。景気後退の影響で海外の需要が減少している可能性がある。一方で、海外でその他の国が徐々に生産を再開し、中国の輸出製品に奪い取られた一部の市場シェアを再び奪還する

l  10月にフランス、イギリス、ドイツに於ける新型コロナウイルスの感染が確認された日々の新規感染者数が過去の最高記録を更新した欧州に於いて疫病の第2波が発生し、中国で疫病が再び発生する可能性もある。海外で感染して国内に持ち込まれること等を警戒する必要がある。中米関係には好転の兆しが見えなく、貿易摩擦がより深刻化する可能性がある

 

結論

以上の通り第三四半期の自動化市場パフォーマンスが予想を上回り、2020年自動化全体市場が前年同期比マイナス成長からプラス成長に回復する期待が高まる。中国経済は着実に回復しており、継続的に好調な傾向にある。しかし、内需、輸出、中米関係及び疫病には不確実性が依然として存在しており、自動化市場がマクロ環境に受けた影響も無視できない。市場の様々な変化に積極的に向き合うために、我々はチャンスと挑戦が共存する姿勢を持たなければならない。