業界観測

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黄桃缶詰の人気が衰えても、包装装置の地位は変わらない

MIR睿工業は包装装置のスマート化・アップグレードが更に加速すると予想している。

この数年来、黄桃の缶詰は今のように人気を集めたことがなかった。そのような缶詰が買えない局面は、今の中国に於ける規制緩和という大きな背景のもとで、信じがたいことになった。


感染が確認された人数が急速に増加し、緩和後にコロナに対して、人間が強い不安に襲われた。その為、全ての関連商品は短期間で価格が高騰した。漢方薬Lianhua Qingwenやイブプロフェン配合の市販薬が治療に役立つ薬品として品切れならわかるが、黄桃の缶詰が品薄になるのはパニックだ。しかし、問題は、黄桃缶詰の大量需要により価格が高騰することが分かっているが、各販売店が大々的に宣伝する為、購買意欲を押しとどめることができないことである。


この激しい購買のブームは直接黄桃缶詰市場とその背後の包装装置の需要の激変を招いたが、現在のところ、分かれていた川上・川下の2つの業界の状況は全く異なっている。


売り切れた黄桃の缶詰:わずか数カ月の間に、市場の浮き沈みを感じた。


わずか数ヶ月前に、缶詰業界はまだ不景気で、具体的には生産数量、成長率、売上高は全て引き続き低下している。単品商品の月間販売数量が最高7万を超え、黄桃の缶詰でE-コーマス業界に於いて人気を集めた「林家鋪子」が、近年の発展は芳しくない。データによると、「林家鋪子」は2年連続で「売上高が増加したが、純利益が伸びていない」の状况にあり、純利益幅も減少している。もう一つの黄桃缶詰の上位ブランドである「歡樂家」は,2022年上半期も「売上高が増加したが、純利益が伸びていない」状況が出て、Q 3や最近になって新たな成長を迎えた。 


市場の需要が短期間で急増した影響を受け、缶詰食品業界は、過去の海外に輸出する製品の売上高に依存し、純利益が少ない産業から現在の人気を集めた業界になった。お金を稼いでいる人もいれば様子見をしている人もいる。急成長した後に黄桃缶詰の需要が大幅に減少し、将来の市場が本質的に急成長しないことを誰もが知っているからだ。


缶詰生産を支えている背後の包装装置はこの一時的なブームの勝者となったようで、大量に受注しただけではなく、市場の認知度が向上した。

多種多様な製造設備の中で、包装装置はハイエンド設備ではない。一部の中国国内に於ける先進的な包装装置メーカーは長年の蓄積により、現在は既に包装装置の自主研究開発、独自設計、生産製造と設置調整能力を備えている。永創智能、京山軽機、達意隆等のように現地化の優位性を利用して顧客に持続的、迅速なアフターサービスを提供し、価格は海外企業に比べて相対的に低く、総合的なコストパフォーマンスは更に高く、グローバル有名企業との間の市場競争力の差は次第に縮小している。



大規模業界、小規模企業



中国の包装装置市場の構造は矛盾しており、それは「大きい、小さい」という特徴が現れている為である。


業界規模が大きい:2021年中国に於ける包装専用装置の生産数量は75.4万台で、前年比186%の大幅な増加となった。包装装置業界全体の売上高は前年同期比15.91%増の538億元に達した。この成長トレンドは中国の包装装置技術レベルと市場の認知度の向上と密接な関係があり、包装装置業界が急成長する新段階を迎えていることを反映している。従って、2030年までに中国の包装装置の市場規模は1000億元を超えると予想されている。


2018-2022E中国に於ける包装装置業界全体の売上高(単位:億元)

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(データ出所:MIR DATABANK)


企業の規模は小さい:2020年まで、京山軽機と永創智能の売上高が20億元を超えただけで、同業の外資ブランドであるTetra Pakの2021年の世界売上高が114.5億ユーロ、ドイツのKosmeの2021年の世界売上高が36億ユーロだったのに比べると、中国国内企業と外資企業の規模の差は非常に大きい。また、統計結果によると、中国国内食品と包装装置業界の80%以上が中小規模企業である。


業界規模が大きく、企業規模が小さい矛盾構造の成因は中国国産ブランドは過去長い間外国からの製品輸入に依存しており、独自の研究開発能力が弱く、特にスマート数値制御システム、メカトロニクス設計、精密部品仕上げ、鋼材材質等の方面にある。中国国産ブランドは近年やっと台頭してきて、今はまだ中国国産品による輸入品の代替の開始段階にあるので、規模はあまり大きくない。


独自の研究開発能力が十分ではなく、上位企業が少なく、低レベルの企業が多く、総合競争力が弱く、製品の独占力が不足している。これらの難点は全て現在、殆どの中国国産包装装置メーカーの頭上を覆っている「暗雲」である。


その為、包装装置業界は巨大な「囲城」のようになっている。業界内では毎年15%近くの企業が転業または倒産しているが、15%の企業が参入している。2020年にはコロナの影響を受け、多くの企業がマスクメーカーになり、事業転換した。


川下メーカーの包装装置に対する柔軟化、スマート化、効率化の要求の為に、より高い研究開発能力と豊かな技術の蓄積、ブランドと規模の優位性を備えている少数の企業だけが相対的に高い利益率を得ることができて、市場の為に絶えず新しい製品を開発している。逆に規模の小さな包装装置メーカーは淘汰又は合併される可能性がある。乳製品、ビール、飲料後工程パッケージ等の分野では、1~2社がその分野のベンチマークとなり、業界の価格設定や基準を把握するという、明確なマタイ効果が現れ始めている。


将来の数年間、川下の他の分野では、上述のような競争が徐々に現れ、ビール、飲料、乳製品等の業界では、市場の集中度が更に高まるだろう。



川下産業の需要は多く、メーカーはどのように事業を展開するか



コロナの規制が大幅に緩和された後、冬のコロナは2023年3月中旬まで「一山三波」を経験する。この為、少なくとも今後3ヵ月ほどは、黄桃缶詰をはじめとする缶詰製品がしばらくの間、「買いだめリスト」にあり、中国国内の関連果物缶詰製品の販売数量も短期的には増加するものと予想される。伝統的な食品飲料業界は包装装置を大量に使用しているほか、新型コロナウイルス感染症の発生以来、pcr検査、抗原検査、新型コロナ関連の薬物の大量の需要が発生し、更に医薬製造の産業チェーン全体(薬品包装を含む)の急成長をけん引した。これに関連して包装装置の需要も大きく増加するだろう。


MIR睿工業は長期的に中国の包装装置市場に注目し、現在の包装装置の川下産業の急増した需要に対して、現在の中国国内の包装装置上位メーカーの情報を全面的に収集した。2022年時点で、MIR睿工業は包装装置の上位メーカー20社(外資メーカーを含む)を重点的に調査した。


これらの企業は主に江蘇省(5社)、浙江省(5社)の2つの省市に分布している。一線都市では北京市と広東省がそれぞれ2社がある。残るのは湖北省、黒竜江省、天津市、上海市、山東省に各1社がある。江蘇省・浙江省地域に多くの包装装置メーカーを誘致できたのは、その事業発展の地域の優位性と無縁ではない:長江の水路に沿って、水運に恵まれている上に、上海という中国全国の経済センターの為、市場の潜在力は非常に大きい。その為、これらの企業は地域の巨大な需要市場を利用し、事業発展の過程で配当を得る。


製品のタイプ別では、包装装置メーカー上位20社のうち、主力製品は缶用充填機のメーカーが最も多く、紙包装装置、包装ロボット、プラスチック包装装置がこれに続いた。注目すべきは、4社がその他の装置を生産していることで、いかに包装装置市場が細分化されているかを示している。


包装装置上位メーカーの主力製品分布状況 

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(データ出所:MIR DATABANK)


上位メーカー5社のうち、Tetra PakとSIGは外資系企業で、中国には計11社(Tetra Pak 6社、SIG 5社)があり、主に北京市、昆山市、蘇州市、上海市等に分布していることが明らかになった。京山軽機、東方精工、永創知能は中国国内資本メーカーで、中国には計25つの工場或いはメーカー(京山軽機10社、東方精工6社、永創知能9社)があり、主に武漢市、青島市、広東省、蘇州市、浙江省等に分布していることが明らかになった。 


包装装置上位企業の地域別分布

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(データ出所:MIR DATABANK)


以上の情報を総合して包装装置業界全体を見ると、過去数年間の川下産業の成長は主に乳製品、飲料、酒類、肉類等の自動化、スマート化のレベルが高いセグメント分野のアップグレード改造から来て、これは包装装置業界の将来の成長トレンドである。2019年の乳製品と飲料業界だけでは、既存の工場と生産ラインへのアップグレード・改造が業界投資の約70%を占めていたが、現在このシェアは更に高まっている。これらのアップグレード改造は一般的にスマート化とトレーサビリティを目標とし、少なくともデジタル化製造を行うことを要求し、これも将来の中国国内包装装置上位メーカーの投資・事業展開の重点である。


将来、人工知能等の新技術の牽引の下で、新設備を生産・加工に使用し、生産効率を高め、人件費を減らすだけでなく、製品の品質と安全に対する管理を強化する。MIR睿工業は包装装置のスマート化・アップグレードが更に加速すると予想している。